2006年11月26日

ミューズの方舟「自作スピーカーコンテスト2006」に行ってきました。

2006年11月12日(日)にミューズの方舟「自作スピーカーコンテスト2006」に行ってきました。
毎年、品川区立中小企業センター3階レクリエーションホールで開かれております。
今年のテーマは「FW168N(1本)+1機種(複数使用可)」でした。
(来年のミューズの方舟のイベントでは改装中の予定のため品川区立中小企業センターは使えないそうです。)

○来訪者について
出品は8作品で、会場の来訪者は100人強だったそうです。半分位は常連客?で、見内の会合という雰囲気に近いものがあります。また、総じて年齢層が高く、20代は極わずかでしょう。30代でも若い世代に分類される感じです。
このコンテストの試聴は無料であり、ミューズが配布した参考資料は28Pにも及び内容も資料性の高いものです。しかも、無料です。
また、8作品もの差異が短時間に聞けるというのはなかなか体験できるものでもなく、とても貴重な機会にもかかわらず、たったの100人程度しか人が来ないというのは解せません。
オーディオという趣味の退潮を意味しているのか、長岡鉄男氏(2000年5月)の神通力の低下を意味しているのかわかりません。
私個人としては、オーディオに限らず大資本主導の消費社会の「成熟」の果ての結果、ユーザーから「自作精神」を駆逐してしまったのだと考えています。

○試聴した感想
今回のテーマはウーハーユニット(FW168N)ですので、バスレフ方式が最も向いているようです。
音質・総合共に前田会長の「ピカイア」が受賞しました。
SDM方式(十字の桟でスピーカーユニットを後から押さえる)、キャンセルマグネットと銅板の実装、3Dスパイラル(スクリュー状)ホーンの実装、鉛テープでユニットダンプ、銅球を使用したインシュレーター使用等、おおよそ投入出来る技術はすべて投入したといえる作品でした。
FW168Nはネットワーク無しでスルー接続、ツィーターはLo-DのHS-33D 003(2.5cmハードドーム)2db落ち。
このHS-33Dというハードドームツィーターは長岡先生も書斎でお使いになられていたそうで、金属振動板らしい先鋭さと落ち着いた音質を兼ね備えた音色でした。
・ ソフトドーム系はホーンツィーターよりもソフトです。
・ リボンツィーターはしっとりした音色です。
つまるところ、バスレフタイプの自作スピーカーは大音量時にユニットがビリつかず、なおかつ背圧をかけないようにするというのがミソのようです。
また、バスレフ型はポート共振が強調されるきらいがありますが、3Dスパイラルホーンはそれを押え込む作用があるようです。
単純にダンプしているというわけではなくて、独自の理論があるようです。
http://www3.ocn.ne.jp/~hanbei/intro.html
前田会長の作品は一言でいえば緻密に音を追い込んだモニター調です。FostexのRS-2と同傾向の音作りと近いようにも感じられました。

「砂の器」という海老澤氏の作品が、「アイデア」・「仕上げ」の部門でトップでした。
ソフトドーム用のホーンは棚板を加工したものです。上下は平行ですので、商用のエクスポネンシャルホーンよりは性能が落ちるかもしれませんが、手っ取り早く自作するのは都合がよいでしょう。
キャビネットは奥行を多くとって、斜めに板を渡して、デッドスペースにはジルコンサンドを入れてダンプしておりました。
重量では出品作品中最も重いでしょうとおっしゃっておりました。
ネットワークは6dbクロスでシンプルなものでした。
この作品も前田会長と同じく3Dスパイラルホーンを使用しております。

○ウーハーにはバスレフ方式が最適なのか?
バスレフはどうしてもバスレフっぽいポート共振の音が耳につきます。
このポート共振音が、歪みっぽい低域サウンドで嫌われます。
かといって、バックロードホーンやTQWT方式(テーパークオーターウェーブチューブ)だと、どうしても緩い低音になりがちです。
TQWT方式の太田氏のノンストは低音が伸びやかで、もっとも素直だったような気がします。ただ、低域の音圧レベルが総じて低い気もしました。
天野氏のSUT-160はスロートを振動板面積の0.5〜0.6倍に絞ったそうですが、それでも、ホーンの共鳴附帯音が耳につきました。
ウーハーを使うという時点で、TQWT方式を詰めていくか、バスレフ方式でポート共振音を押え込む方向の音作りということになるようです。
前田会長の「ピカイア」や海老澤氏の「砂の器」に共通するのは3Dスパイラルホーンでポート共振音を押え込むということと、ユニットやキャビネットを強化及びダンプして余分な共振を押え込むという手法です。
このことは、すべての自作スピーカーに通ずる共通項だと言えるでしょう。

○自作する意義
スピーカー(の箱)を自作する意義について問われれば、逆に
「スピーカー以外に自作する意義があるものがあるのか?」
と問い返したいです。
家具等は市販品の方が安く、高度な技術を要するものはそれなりの工具も必要です。
昔ながらの職人さんはノミやカンナのセットだけで、緻密な家具を作り上げますが、そのようなことは素人風情には一朝一夕ではできません。
スピーカーの自作が意味を持つ背景には、メーカー製スピーカーは低廉化と超高級モデルの二極化が進んでいることも挙げられます。これでは、まるで今の日本社会の裏映し状態です。
また、メーカー製スピーカーは総じて低能率であり、高能率なユニットを使った自作スピーカーとは音色が似ても似つかないのです。一端、高能率ユニットの伸びやかな低音や緊張感のある中音に慣れてしまうと、メーカー製のスピーカーは抑揚のない「つまらない音楽表現」に聞えてしまうのです。

○ バックロードホーンと共鳴管
長岡鉄男氏が遺した自作スピーカー群でも、異彩を放っているのがオーバーダンピングの高能率ユニット使用を前提として設計されたバックロードホーンや共鳴管です。共鳴管についてはネッシーJr.ESの24mmラワン合板使用モデルの作成を検討中です。
低域中だるみのネッシーはサブウーハー必須なので、低音の芯が感じられる硬さについては問題ないようですが、バックロードホーン系は基本的にフルレンジユニットをバックロードホーンの箱につけて、ツィーターを付与するスタイルなので、かねてから低音の音質について議論がなされてきました。
http://www2.plala.or.jp/cgi-bin/wforum/wforum.cgi/takatsugu/wforum?mode=new_sort
http://www.nihonkai.com/tam/d58es/4.htm
バックロードホーン【D-58ESやD-150ES(モア)】には再生するソースによって向き不向きがあるのは確かで、モアはクラシックで最高の鳴りを見せまするが、コンプレッションのかかったJ-Popでは不自然さがあり、また、一部低音域でレベルが低いところがあります。
D-58ESはモアよりも低音のアタック感がありますが、ウーハーを使ったシステムよりは低音に芯が薄く感じられます。
しかし、圧倒的にアドバンテージが感じられるのが、爆発音や銃声のSE音です。
DVD時代になったSE音の音質はめざましいものがあり、また、音楽CDよりも視聴する割合も高くなってきています。SE音はダイナミックレンジの広さでそのリアリティが決定され、背面の抜けているバックロードスピーカーにおいては、メーカー製を一蹴する性能を見せます。
有り体に言えば、映画DVD(戦争映画等)やアニメDVDを見るのにはバックロードホーンスピーカーはとても優れていると言えるでしょう。
デジタルアンプになって逆起電力の影響を受けなくなったのと、低音の再生能力が低廉モデルでも格段に性能向上したのもバックロードホーンスピーカーには追い風となっています。

○ スピーカーシステムへのフェテッシュな愛
長岡先生は逆起電力の影響を受けづらく、高音の音色の良いA級動作のMOS-FETアンプ(Lo-D HMA-9500等)を使ってバックロードホーンスピーカーを駆動しておりました。時代は廻ってデジタルアンプが出現して、長岡BHの真価が発揮される環境になりました。高能率でハイ上がり(=Qoが低い)のユニットを使い、バックロードホーンで低域を稼ぐという、ある種トリッキーだと思われていた手法が今こそ「天下の正道」となる時代になったのです。
 スピーカーユニットはフェライト磁石やダイキャストフレームやソフトな素材を使った振動板とを組み立てた単なる工業用製品に過ぎませんが、10kgを越えるとその重量感と相まって、手に取ると存在感は一層際だちます。
無機物であるスピーカーユニットはキャビネットと一体化して、音楽を奏で台詞を伝え、視聴者に感情を運び、喜びや驚きや悲しみをも誘発させる媒介者として立ち振舞います。私にとっては、その存在にフェティッシュな思い入れが発する程のものなのです。

posted by たかおん at 23:28| 埼玉 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 自作スピーカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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