2007年06月21日

『電脳コイル』がお薦め!〜実力派声優、夢の共演〜

61mdvk1yJRL._SS500_.jpg(敬称略)
NHKが送り出すアニメーションの歴史
 NHKのアニメ枠での最初の作品は1978年の「未来少年コナン」だと記憶している。テレビアニメでも傑作の呼び声が高く、私個人の反戦思想は未来少年コナンの影響を強く受けている。1990年には「未来少年コナンのような作品」を、というNHK側からのオファーに基づいて、「ふしぎの海のナディア」が放送された。 1998 - 1999年にはNHKにて「カードキャプターさくら」が放送され、アニメについてはあたかもNHKが主導権を握っているような状態にすらなった。2000年以後も「無人惑星サヴァイブ」などの良質な作品が送り出された。

2007NHKにて『電脳コイル』登場!
 『電脳コイル』は磯光雄監督・本田雄キャラクターデザインにて「sirial experiment lain」と「となりのトトロ」と「じゃりんこチエ」をまぜこぜにして、最新の演出を凝らした作品である。sirial experiment lain」は陰々滅々鬱アニメだったが、 『電脳コイル』は明るく快活なキャラクターが多く、シリアスな内容にも関らず見ていて楽しい演出が満ち満ちている。 イサコの電脳ペットである「モサモサ」という「真っ黒くろすけ」そっくりなキャラクターも登場するし、「となりのトトロ」のメイそっくりの京子は「ウンチ!ウンチ!」と指差し連呼しながら走り回る。 『電脳コイル』はサイバーパンク的な技術を現実世界とシームレスに表現しており、電脳世界の情報は「電脳メガネ」によって現実世界に重ねて表示され、手で触れて操作できるようになっている。であるから、ビジュアル的には電脳空間を完全に分けて描いていた「攻殻機動隊」よりも、現実との虚実ない交ぜの演出を行なっていた「sirial experiment lain」に近い。『電脳コイル』は「lain」よりも、もっと現実世界との「重なり合い」が強く、旧来のアニメーションが抱えていた現実世界と電脳世界との差異を、押さえる作用をもたらしている。 

○名声優、夢の共演
 今から思うと、「無限のリヴァイアス」が鮮烈な印象を残したのは声優陣の優れた演技力に裏打ちされた演出が基底にあった。蓬仙あおい(桑島法子)と和泉こずえ(丹下桜)、当時2大女性声優による共演が作品を支えた。泣き演技をさせたら右に出るものはいない丹下桜だが、カードキャプターさくら(さくら)、アンドロイド・アナ MAICO 2010MAICO)でもその実力が伺える。丹下桜は現在声優業を休業している。誠に残念である。
 『電脳コイル』では、主人公ヤサコに折笠富美子を起用。機動戦士ガンダムSEED DESTINY(メイリン・ホーク) 、コードギアス反逆のルルーシュ(シャーリー・フェネット)で見られるとおり、とても澄んだ声質、いわゆるクリスタルボイスである。
 イサコは桑島法子が演じている。桑島法子こそが声優界に君臨する女王様である。イサコは小学生なのに「へそ出しルック」で、精神年齢が高い。イサコの役柄自身が女王様であり、まさに現在の桑島の地位を体現するかのようである(^-^;。桑島の声質の幅は広く、“ロリ声役”はアルジェントソーマ(ハリエット・バーソロミュー)が該当し、もっとも硬質な声色は機動戦士ガンダムSEED(ナタル・バジルール)だろう。イサコ役はナタル・バジルール調にやや感情の強弱を強めに含ませた雰囲気になっている。電脳コイル4:大黒市黒客クラブにおける、
「コイルじゃ、所詮むりむり」
「潰れろ!」
「私から情報をかすめとろうとはな。実力は解ったわ、小さな魔女さん」
という台詞が続けてある。それぞれの台詞に対する、感情の込め方の起伏が秀逸である。
 京子を演じる矢島晶子は多くの声色を持つ。クレヨンしんちゃん(野原しんのすけ)役で知られているが、もっとも注目を集めたのが、BLOOD+(宮城リク、ディーヴァ)の2役だろう。ショタコン垂涎の宮城リクを演じたが、なんと、1人二役で演じているディーヴァがリクを殺すことになる。ちなみに、2006年産まれの男の子でもっとも多い名前が「りく」だった。ゲームでも「リク」というキャラクターがいるようなので、すべてがBLOOD+の宮城リク(みやぐすくりく)の存在の影響とは断定は出来ないが、少なからず影響力があったのは間違いないだろう。
 ハラケンを演じる朴美(ぱくろみ)は富野由悠季監督の引きで、ブレンパワード(カナン・ギモス)でデビュー。∀ガンダム(ロラン・セアック)で主役を演じて注目を集める。∀ガンダムのストーリー自体が大陸からの文化を運んできた渡来人=ムーンレイス(先進文明である月の民)と見立て、彼等と地球の人々が交流するというシチュエーションである。朴美自身は在日韓国人である。かつて、ジョニー大倉が韓国人名で映画に出演したが、その後冷や飯を食わされて、日本名に戻している。
 一方、朴美は声優デビュー当初から韓国人名であり、今や押しも押されぬ大声優となり地保を築いている。この事が富野由悠季自身の強い押しもあって実現できたのは、私自身が∀ガンダムの舞台挨拶を見て確信できた。だから、個人的には∀ガンダムは作品の内容うんぬんというよりも、朴美を送り出したロケットみたいな捉え方である。 ZEGAPAIN -ゼーガペイン-では「マオ・ルーシェン役」を精神的な強い少年として演じて作品を牽引した。ハラケンは一転、気の弱い少年役である。後々どのようなキャラクター変移があるのか楽しみである。 というわけで、『電脳コイル』は当代切っての名声優が揃って出演しているという点においても注目作品なのである。

 
オーディオの余談
○長岡派異端のたかおん、リファレンスは桑島法子様の声
 「長岡派」で検索すると、長岡瞽女(ながおかごぜ)というのが出てくる。http://web.nou.ne.jp/~gozeyado/nagaokagoze.html
なかなか、考えさせられるページであるが、私の言う「長岡派」はまた別である。
 オーディオマニアで言うところの長岡派は長岡鉄男氏のファンであって「長岡教信者」とも言われる。生粋の長岡派は優秀録音盤や高尚な音楽CDをリファレンスにしている。私はオーディオ界の異端である長岡派の更なる異端なので、マクロスプラスのサウンドトラックをリファレンスCDとしている。
 しかし、本当に聴覚上の感性を刺激するのは桑島法子様が演じるNoirの夕叢霧香の声である。「ミレイユ、私を撃って!」と、少し切なげに訴える声に脳幹が揺さぶられる。その「声の艶」が今時のデジタルアンプでは出ないのだ。サンスイ製のアナログパワーアンプB-2103Mosが圧倒的に良かったのだが、今は外してしまっている。バックロードホーンをフルレンジ駆動で使うアンプではPanasonicのデジタルアンプSA-XR55の方に部があるからだ。
 デジタルアンプは低音の音の輪郭がしっかりしており制動も効く。高音も低歪みでクリアーである。中音はアナログアンプがかなり優位である。ボーカルや台詞に艶が乗る。「声の艶」は一種の歪みなのかは、よくわからない。
 心の奥底に静まっている感情を瞬時に沸き上がらせる力をもつのは中音である。真空管アンプも中音は良い。しかし、真空管アンプの美味しく聞ける音域があまりに狭く、しかも電源を入れてから音だしまでの時間が20分などと言われているので運用上問題外である。使うとしたら、5Wayぐらいのチャンネルデバイドマルチの中音ユニット駆動専用だろう。
 アナログアンプは真空管アンプほどには艶が乗らないが、ほどほどに艶が乗る。格種アンプの相対評価ではアナログアンプの中音がもっとも現実に近いような気もする。アナログアンプは美味しい帯域が広いので、3Wayの中音ドライバー駆動でも使えるだろう。コンプレッションドライバーもチャンネルデバイダーも入手したが、ドライバーとホーンを繋ぐアダプターが調達出来ていない。旋盤を買って自作するなどという壮大な計画もあるが、私のようなぐうたら者にはいつ実現できるのか皆目検討も付かない。 それでも、桑島法子様あってのオーディオシステムであるのだから、桑島法子様の声が奇麗に聴けないオーディオシステムの存在価値は大きく低減してしまうのであり、リファレンスである桑島法子様の声を奇麗に聞けるシステムを目指すのが、私の進むべき道なのである。

(参考)
----以下昔書いた文章の転載----
桑島法子とその時代
 
(敬称略)
○アニメは声優と共に寓話を紡いできた
 あたり前の事だが、アニメキャラクターは声優が声をあて、命を吹き込んできた。ルパン三世役の山田康雄は「舞台経験の無い声優は力量不足」という趣旨の発言をしていた。確かに70年代のアニメは俳優が声優を演じる事も多かった。「ベルサイユのバラ」のTVアニメ版は田島令子(オスカル・フランソワ・ド・ジョルジュ)と志垣太郎(アンドレ)が演じ、舞台俳優の経験を活かした力量溢れる鮮烈な演技を見せた。当時は俳優・女優さんが「儲かる声優業」への進出が多かったようだ。やがて、声優専業の人達が独自の表現世界を作っていくことになる。

○宮崎駿と声優
 赤毛のアンの声優オーディションで高畑勲監督は山田栄子を採用、島本須美は落ちたが、その時に宮崎駿の目に止まる。後に「カリオストロの城」でクラリス役として起用した。
徳間書店ロマンアルバム「風の谷のナウシカ」でのインタビューによると、風の谷のナウシカのアフレコの時、島本須美の声について宮崎駿監督は「あと2年早かったらねぇ・・・」と、「カリオストロの城」のクラリスから声が老けたことについてコメントしている。
この後も「となりのトトロ」で日高のり子、「魔女の宅急便」で高山みなみと実力派声優を抜擢していく。しかし、反天皇教アニメの金字塔「もののけ姫」で女優の石田ゆり子、千と千尋の神隠しで実年齢とのリアリティを追及したキャストとして柊瑠美、「ハウルの動く城」ではハウルで木村拓哉・ソフィで倍賞千恵子を起用している。
私はもののけ姫のキャスティングから大いに疑問を感じていた。一線で活躍する声優陣には力量で及ばず、素晴らしい作画に「声」が付いてきていない感じを受けた。柊瑠美は12歳という千尋の実年齢と同じ女の子が演じたが、初々しさに魅力があるものの、やはり素人っぽさが出ていた。ハウルの動く城に至っては、ナウシカの島本須美を「あと2年若ければ」とのたまった宮崎駿にして、倍賞千恵子にティーンエイジャーの女の子を演じさせる始末である。演技力はあるがさすがに無理を感じた。また、ハウル役の木村拓哉は実力の観点から大いに疑問である。
宮崎駿は声優を嫌っているという噂もある。ハウルの動く城は広告代理店への配慮をした配役なのだろうか、私には知るすべがない。実力派声優と共に歩んできた宮崎作品だが、知名度を優先した配役へと転じていくにつれて、キャラクターへの「萌え」要素を減じることとなった。良い方へ考えると、宮崎駿の狙いは作品全体でメッセージを発することにあり、キャラクターの暴走を忌避しているのかもしれない。
○ブルージェンダーとの遭遇
 1993年に富野由悠季のVガンダム、それに触発されて、1997年にエヴァンゲリオンが発表される。エイリアンとの遭遇戦闘を基盤して観念的な世界を描くという手法は「イデオン」−「エヴァンゲリオン」−「ラーゼフォン(RAhXePhON)」と引き継がれるが、平行して幾つもの作品が発表されている。
エヴァンゲリオンは内面世界を延々と映像化して登場人物に多くを語らせた、これは脚本家山口宏が主導した。後に「ベターマン(1999年・山口宏)」でより一層深化させる。一方、エイリアンとの対話という道筋は「アルジェントソーマ(2000年・山口宏)」「ラーゼフォン(2001年)」「蒼穹のファフナー(2004年)」が引き継ぐ。「蒼穹のファフナー」は「アルジェントソーマ」へのオマージュ色が強い。最初の放映話でメガネをかけた美少女が死ぬ事や、エイリアンの世界へ行ってしまった人物が戻ってきて対話をするという点などである。  話しは前後するが、1999年にBlue Gender(ブルージェンダー)という作品が深夜枠で放送され、私はそこで、桑島法子の演じるマリーン・エンジェルを見た。オープニングやエンディングの曲も桑島法子が歌い、まさに桑島法子づくしの作品だった。作画はVガンダムを凌駕する程の荒れ具合であったが、私は桑島法子の演技に強く惹かれた。戦闘マシーンとして地球に送り込まれるマリーンがやがて人間味を取り戻していく過程を細やかに演じていた。そこでは、声優が作品を支配する等というあり得ないことが起きていたのである。
 
○桑島法子と共演した人達
 多くのアニメファンは機動戦士ガンダムSEEDでの桑島法子を演じたナタル・バジルールとフレイ・アルスターを知っているだろう。三石琴乃(ラミュー・ラミアス)vs桑島法子(ナタル・バジルール)という信頼と確執の狭間に揺れる女同士のつばせり合いの原形はNoirの桑島法子(夕叢霧香)vs三石琴乃(ミレイユ・ブーケ)にある。Noirはキリスト教原理主義の原罪をモチーフにした作品である。原作者の月村了衛はNoirの世界観を描くために総力で挑んでいると、私は感じた。主人公の夕叢霧香は平たく言うと教会が育成した殺し屋である。最初に見たときに、女子高生の制服を着た夕叢霧香がじゃんじゃん人殺しをするので、一見してなんと不謹慎なアニメなのだろうかと嘆いたものである。しかし、恥ずかしながら申し上げると、桑島法子の演じる夕叢霧香の魅力に取り憑かれてしまった。それも、三石琴乃の演じるミレイユ・ブーケとのやりとりで醸成されたものであり、機動戦士ガンダムSEEDへと引き継がれている。
Noirに近い世界観の作品はとしてはGUNSLINGER GIRLがあり、主人公ヘンリエッタは南里侑香が演じている。南里侑香はとても声が奇麗で、劇場版作品「雲のむこう、約束の場所」での沢渡佐由理役でも、その声の魅力を発揮している。
浦沢直樹のMONSTERでは桑島法子はベトナム人女医としてちょい役で出ている。桑島の声は能登麻美子(ニナ・フォルトナー)に似ている。作品中ではベトナム人女医役として圧倒的な存在感があった。

○ハリエット・バーソロミューとステラ・ルーシェ
 機動戦士ガンダムSEED DESTINYの桑島が演じるステラ・ルーシェを見たときに、幼い精神年齢と衒うことなく感情をさらけ出すキャラクターに新しいタイプの登場を感じた。しかし、後に「アルジェントソーマ」を見たときにステラ・ルーシェはハリエット・バーソロミューが原典であると気づいた。私は脚本家山口宏を過小評価していたのと、少女のハティ(ハリエット・バーソロミュー)がシルクハットの帽子を被っているというトンチンカンな風体(ハットだからハティなのか?)を見て、あえて「アルジェントソーマ」を避けていたが、ある日、オタクとして最終話ぐらい見ておくべきだろうということで、25話を見てみた。
 19歳になったハリエットが出てきて、大いに感じるものがあった。一通り作品を見終えて「アルジェントソーマ」が後の作品達に及ぼした影響の大きさも感じた。桑島は「アルジェントソーマ」では全く性格の違うハリエット・バーソロミューとマキ・アガタを演じている。ガンダムSEEDのキラ・ヤマト役の保志総一朗もここでは、リウ・ソーマ/タクト・カネシロを演じ、キラ・ヤマト−フレイ・アルスターを想起させる配役となっている。桑島は幾つか声を使い分け出来るだけでなく、まったく異なる性格を作品中で演じることもしている。これだけ幅のある力量を持っている声優は他に居ないのではなかろうか。
私は希代の天才声優桑島法子が紡ぐ寓話が連なる時代に居合わせるという法外な幸せに酔うと共に、いい年をしてハリエット・バーソロミューに萌えてしまってどうしようもない自分自身に困惑している今日このごろなのだ(笑)。

posted by たかおん at 23:43| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(4) | アニメ批評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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