2015年01月12日
ゴミの減量とリサイクル料の節約
2011年09月25日
シカゴボーイ古賀茂明氏の退場とラストエコノミックヒットマン竹島一彦公取委員長。
紆余曲折あって古賀茂明氏が辞任した。一部では英雄扱いされている古賀氏だが、著書『日本中枢の崩壊』を読めば分かる通り、大前健一氏に近いスタンスだ。産業構造を大胆に変えて活力を蘇らせるということだ。私には「金の卵を産む鶏を殺して金を取ろうとしたが、鶏は死んでしまっただけだった」という逸話に描かれる失敗を好き好んでやろうとうしているようにしか見えない。
古賀茂明氏は小泉竹中渡辺喜美らの資本家優越主義者らの残党に過ぎない。日経新聞も古賀氏を支援しているそうだ。通例で小泉竹中改革は新自由主義という言葉を充てるようだが、英語ではネオリベラリズムが該当する言葉のようだ。しかし、彼等の改革とは、資本家側の立場に立って産業や金融を制度変更するのだから、翻意としては「資本家優越主義」であるべきだろう。
2.後ればせながら和訳が出たナオミ・クライン著『ショックドクトリン』
最近、ナオミ・クライン著(Naomi Klein) The Shock Doctrine: The Rise of Disaster Capitalism (『ショックドクトリン惨事活用型資本主義の台頭』)の翻訳がようやく出版された。最近は「美人なんとかの本」と半分お世辞で著者が美人だというのを売り文句にした本が流行っているらしいが、ナオミ・クラインは本当に美人なのだ。だから皆さんも読みましょう、というのは冗談だが、この本は衝撃的な内容故に翻訳されないとまで言われ、まことしやかな噂が流れた・・・というか私が流した(^^;
英語版なら安いのだが日本語版は高い、実のところ私はまだ読んでいない。結局英語の壁に阻まれた。脳学者の言う「バカの壁」というのがあるのかもしれないが、日本人とっての「バカの壁」の一つとして「英語の壁」は厳然として存在する。英語は話せなくても書けなくてもよいが、読めないと確実に損をする。むしろ、日本人は英語は話せない方が良いという人もいる。なぜなら、日本人がバカなのが外国にばれてしまうからだそうだ。それはともかく、英語の読解は今後絶対に欠かせないだろう。日本人全員がネィティブ並にスラスラ英語を読めたら、Amazon.comで『ショックドクトリン』を注文して熟読し、日本国を襲った金融収奪を阻止できたのかもしれないのだ。
著作の内容はデモクラシー・ナウ!のインタビューで知った。注目すべきは、自由市場改革を唱えたシカゴ学派の学者らは、他国の経済支配をもくろむ帝国主義者と資本家の学術的な尖兵であったという事だ。この『シカゴ学派』に注目して欲しい。
3.古賀氏主導による純粋持ち株会社の解禁
『日本中枢の崩壊』第7章230頁〜250頁に純粋持株会社の解禁に至る経緯が書かれている。古賀氏をして「私の官僚人生で最も大きな仕事である」と言わしめた独禁法九条の改正である。
著書から引用しつつ概要を説明したい。
--引用開始--
(部分的に省略有り)
日本の独禁法九条では「純粋持ち株会社の禁止」が定められていた。小数の財閥が独占的な地位を利用して経済、そして社会全体を牛耳っていたことが戦争の原因の一つだ。そう考えたGHQは、戦後財閥解体を実施した。経済民主化の柱の一つである。
財閥は持ち株会社を中心として運営されていたので、占領が解けた後も財閥が息を吹き返さないように、独禁法九条を作って持ち株会社を作れないようにしたのだ。
(略)
日本の企業のなかには、ほとんど儲からない事業なのに、なかなか撤退せず、横並びで事業を続けているところがたくさんあった。
多角化して様々な分野に進出していたが、どこかがいつも赤字で、利益率も高いとはいえないうえ、どんぶり勘定になりやすかった。
子会社は当時でも認められていたが、子会社の資産が全体の半分を以上を占めてはなはならないなど制約が多く、すべての事業を子会社化して独立採算を徹底させるのは不可能だった。
もう一つ、純粋持ち株会社の解禁が必要だと考えたのは、その頃から世界中でM&A(企業の合併・買収)が非常に盛んになっていたことである。選択と集中という概念もようやく日本で広がり始めた頃だ。
各社はこれから本格的に戦略的な事業再編に着手するだろう。そのとき、日本の企業だけ持ち株会社という経営形態を封印されていては、自由に事業ごとのM&Aや再編を行うことはできない(M&Aや再編への配慮)
大蔵省が連結決算を嫌がった理由
税制の問題。連結決算に関する税制度が必要だが、当時はなく、大蔵省(当時)は法改正に難色を示していた。
大蔵省が首を縦に振らない理由は二つあった。連結決算は読み解くのが難解で、大蔵省にはそれが分かる人間が三人しかおらず、人材育成もたいへんだし、税の徴収も面倒になるという理由が一つ。
二つ目は、連結納税を認めると、実質減税になってしまうという理由である。
減税効果がある。連結納税 黒字と赤字で差引き利益は相殺され、税金を収めなくて済む。
アメリカの系列批判。
アメリカから公取を強化せよとの要求が来ていた。私は以前、産業構造課で日米構造協議を担当していた。(公取の強化は、日米の懸案事項の一つだった)
公取に配慮
公取の事務局を事務総局にする。経済部と取引部を統合して経済取引局に、審査部を審査局に格上げする。
公取の事務局長は他省庁では局長に当たる。つまり、一番上のポストが次官級ではないのだ。事務総局にすると、そのトップ事務総長は次官級に、部が局になれば、部長は局長へと格上げになる。次官級ポストはゼロから一になり、局長九は一から二に増えるのだ。
--転載終わり--
元来GHQが財閥復活阻止の為に、純粋持ち株会社を禁止。日本の企業は経営多角化を企業内部もしくは一部を子会社化して実施していた。各事業の損益が曖昧だった。世界的に企業の合併・買収の流れにあるので、純粋持ち株会社を解禁すべき(この根拠が薄弱)。連結納税に”当時の”大蔵省は抵抗。アメリカは日本企業の系列を批判、及び公取を強化せよと要求。公取は純粋持ち株会社解禁に反対。しかし、公取格上げを餌にして取引した。1997年12月の独占禁止法は改正され、純粋持ち株会社は解禁された。
要約するとこうなるのだが、非常におかしい話しだ。純粋持ち株会社解禁→産業再編→同業他社が減りカルテルし易い→一方で公取は強化。産業再編を促進させ、価格協定が結ばれやすい土壌を作る一方で、カルテル取締り強化を行うとは矛盾している。単にアメリカが株式持ち合いを通じて日本企業連合体を形成していた産業構造を、外部から見て分かりやすく、買収しやすくする為のようにもみえる。
4.シカゴ学派の独占禁止法の考え方
松下満雄著『経済法-市場の維持と補完の法-』55頁-58頁から
--転載開始--
ハーバード学派の思想の根底にあるのは、分権的・多元的社会を理想とする社会体制観である。この思想によれば、権力の集中は腐敗の温床となり、また国民に対する圧政の基になるとされる。このような集権的体制にあっては国民の自由が侵害されるので、権力の集中を防止することが必要になる。政治体制としては、三権分立、連邦制度等により権力の分立とその相互間の抑制・均衡を図り、これによって政治的自由を確保することが必要である。ハーバード学派はこのような分権的体制は経済の領域においても必要であると主張するものである。すなわち、経済権力の集中によって、複数の企業が市場において相互に併存して競争を展開するという分権的・多元的経済体制が危機に曝される。そこで、独占禁止法の適用によって独占の禁止や企業間の競争制限(カルテル)協定を禁止して、多数企業が市場に存在して相互に競争を展開できる条件を維持すべきであるとする。
ハーバード学派の思想においては、独占禁止法の適用は厳格にすべきであるという結論になる。たとえば、独占的企業はそれが市場において支配的地位にあるという理由で問題視すべきものとなり、市場占拠率が大きな企業はそれが大きいという理由によって危険な存在とみなされ、分割すべきとされる。また、大きな支配力が生ずるような企業合併は原則とて危険視されるべきこととなる。この思想においては、大企業の支配に対して中小企業の企業活動の機会を確保することも重要な事項と考えられる。
以上のようにこのハーバード学派によると、独占禁止法はカルテルに対して厳格に適用されるべきことはもちろん、さらに独占、企業合併、垂直的制限(たとえば、メーカーが販売特約店に対して課する地域制限、競争品排除等)などについても厳しく規制すべきこととなるのである。
ハーバード学派は米独占禁止法の伝統的な思想であるが、1939年代のニューディール政策の後期より盛んになり、1960年代の後半から70年代の前半に最盛期を迎えた。しかし、その後、以下に述べるシカゴ学派が有力になった。しかし、現在においても、この思想は米独占禁止法の究極にあると考えることができ、米民主党は伝統的にこの思想を維持している。現在、米行政府は共和党政権であり、シカゴ学派の思想を警鐘しているが、議会においては民主党が優勢であり、この意味において、この思想は米政府にも影響力があるとみるべきだろう。
これに対してシカゴ学派は現在米国において有力な思想であるが、これによると独占禁止法の目的は、生産量の極大化と経済の効率化の増進にあるとされる。この思想においては、カルテル(企業間の協定によって相互の競争を制限すること、たとえば価格協定)は生産量の極大化や経済の効率化に資することがないので禁止されるべきであるが、独占、企業合併、垂直的制限等を原則的に独占禁止法上違反とすべきではなく、これらが競争にいかなる影響をえたえるかについて、ケース・バイ・ケースに経済分析を行ってそれらの当否を決定すべきであるとされる。
(略)
シカゴ学派の思想においては経済権力の集中排除、分権的・多元的経済体制の維持、中小企業の事業活動機会の確保等の「政治的価値」はあまり重視されず、もっぱら経済的価値が追求されているということができよう。この思想は1970年代の半ばより盛んになり、現在はそれの最盛期にあるといえよう。米行政府においては、この思想に基づいて独占禁止法の施行が行われており、最近は裁判所の判例においてもこの思想が有力になりつつある。この思想の背景には、米国の産業が日本等の産業との国際競争に直面しており、経済的効率性を重要視せざるを得ないという事情があるものと思われる。
ともかく、シカゴ学派の思想によると、独占禁止法の規制はカルテルに対して厳格に行おうべきこととなるが、それ以外のい局面に関してはハーバード学派による場合に比較して、より企業活動にとて寛大なものとなる。そして、この学派の思想による場合には、独占禁止法による規制があまりにも強力であるのと、それ自体が過剰介入となり競争を疎外するとされる。
--転載終わり--
ハーバード学派は独占、企業合併、垂直的制限を行い経済権力の集中を排除する事を主眼としており、シカゴ学派は産業競争力逓増を主目的して、企業合併に寛容である一方でカルテルに対しては厳格に臨むという方針だ。
古賀氏はシカゴ学派の思想に基づいて行動してきたと言える。
5.公取が日本産業界を潰そうとしている。
先日、「ベアリング」4社価格カルテルの疑いで、強制調査が行われた。3年前には亜鉛鋼板のカルテルで捜査があった。
元財務官僚の竹島一彦公取委員長の元、2005年1月に独禁法が改正され、公取は『1.犯則調査権、2.課徴金の強化、3.課徴金減免制度』を手に入れた。
これによって、公取は国税並の強制(犯則)調査と、「密告すれば刑事罰を見逃してやるとともに課徴金を減免する(課徴金減免申請・リニエンシー)」という日本では前例の無い司法取引制度を得たのだ。
ベアリング各社にしても亜鉛鋼板にしても、価格値上げの背景に原材料価格の上昇があった。一斉値上げには業界取引の混乱を引き起こさない利点もある。原材料価格の値上げを卸し売り価格へ転嫁する事には正統性がある。
東日本大震災以後、放射能汚染によりベアリング各社の製品は海外市場から返品を受ける事態にあり、正真正銘未曽有の危機的状況にある。そこにカルテル強制調査が行われた。しかも、悪名を馳せた東京地検特捜部との合同捜査である。報道されていないが、国税庁が関連企業にまで税務査察に入っている。
言葉がでない、と言うか言葉にしたら私が逮捕されてしまう。小室直樹博士の言うところの「全員電信柱に●るせ」の世界だ。
東京地検特捜部は組織の生き残りを賭けている。公取も特捜も元はGHQの一部だった。歴史的な流れを考えると、二つの組織は同根なのである。
公取を使った日本産業界への攻撃は、帝国主義者が日本の日本産業界弱体化を狙っているとしか思えない。しかし、本家本元のアメリカは崩壊過程にある。本丸は燃えているのだ。シカゴボーイズやエコノミックヒットマンは歴史の舞台から消える流れだ。古賀茂明氏に続き、竹島一彦公取委員長も公職から退くべきだ。
(参考)
公正取引委員会委員長 竹島一彦とは何者か
http://p.tl/E7jA
2011年08月24日
都市銀行が為替デリバティブ取引を売りつけて中小企業から収奪

1.恐怖の大魔王「都市銀行」
9.11アタックの報道を
見てて、どこぞの邦銀からも犠牲者が出た。「あぁ因果は
廻るんだな」と妙に納得したもので
ある。
生命保険、投資信託の押
売りは日
常茶飯事、変額保険だとか、相続対
策のマンショ
ン・アパート資金融資
だとかで庶民を半分だまくらかして、資産を根こそぎ奪う恐ろしい存在、
それが都市銀行で
ある。彼等は都市伝説では
なく、恐怖の大魔王として駅前に君臨し
ているのだ。
円高パニックを
煽っているのだが、仮に1ドル120円だったら、今ごろ輸入資材
の高騰で庶民の生活はますます逼迫していたはずだ。輸出企業は企業規
模が大きいので為替リ
スクをヘッジできるし、そもそも企業体力が大きいので事業存続が危うく
なるわけではい。 何でそんなに騒ぐのか、騒ぐ根
拠があるのかといえば、官民併せて膨大なドル建て資産を
所有しているからなのだが、直近に現れる問題が別途ある。
都市銀行が融資と抱き合わ
せで、中小企業へ売
りつけた外
貨のデ
リバティブによる損失で倒産に至るケースが多々あるのだそう
だ。デ
リバティブは指数先物と
言いかえた方が解りやすい。
-
- 転載開始--
デ
リバティブとは、外国為替や株式、債権な
どの金融商品など
から派
生したもので、「通貨オプショ
ン」などが含まれている。この「通貨オプショ
ン」は、将来の特定日にあらかじめ決められた価格で、通貨を
売り買いする権利を売買する。為替変
動リスクに備えて、大手銀行な
どから購入する企業が増えている。
例えば、海外から製品を
仕入れている企業の場合、
円安が進行すると仕入れ価格が上昇し、収益が
悪化するリスクがある。そこで、円
安リスクを回避するため、手
数料を支払ってあらかじめ一定額で外貨を
購入する権
利を取得する。為替があらかじめ設定していた価格よ
りも円安で推移すれば差額が収益となり、仕入れ価格の
上昇分を補うことができる。これとは逆に円高になった場合には、権利を
売却することで、損失は支払った手数料だけで済み、円高に
よる仕入れ価格の減少分が収益と
なる。
このように「通貨オプショ
ン」を上手に利用すれば、損失を一定額に抑えることができ、企業経営を
安定させるのに役立つ。しかし、損失を受けた多くの企業では、銀行に
売却する権
利を売ってしまう契約になっており、円高になっても権利を
売却できない状態に陥ったとされている。
こうした取引の場合、想定した方向に為替が
推移すればより収益は良くなるが、反対の方向で推移し
た場合に
は、実態よりも悪いレートで外貨を購入し続けることになる。特に最近の
ように急激な円高が進行する状況下では、為替動向を見誤った企業の資金繰りは急
速に悪化し、最悪のケースは倒産に至ってしまうこともある。
-
- 転載終わり--
2011年の円高関連倒産は、8月7
日時点で、28社
が円高関連倒産。うち13社が「デ
リバティブ損失」が原因であったとされている。別途「その他為替差損」が5社とある。半分近くが為替指数先物倒産で
ある。
何が問題かと言えば、本来為替損失を抑えるための金融商品なの
だが、「一
定額で外貨を購入する権利」
する権
利を銀行側に売る契約に
なっているので、想定よりも反対に為替相場が動
いた場
合、損失がでてしまうそうだ。
そもそも、円安を想定して、リ
スクヘッジする金融商品を買
うとすると輸入企業には有用な
のかもしれないが、外貨を扱わない中小企業に
とっては無
用の長物だ。銀行は
輸出企
業からオプショ
ンの売りを引き受けなければいけないので、それを他の企業に売ってると言われている。
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- 転載開始--
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、自己資金を使ったデ
リバティブ取引で1000億円近いトレーディング損失が発生し、2011年3月期の最終損益が
1450億円の赤字になった。デ
リバティブ取引は金融のプロで
さえ巨額の損失を出しかねないと認識しておく必要があるといえる。
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- 転載終わり--
これが何のデ
リバティブ取引なのか、外債による損失なのか判然としないだが、これから金融機関が巨
額の損失を突然計上してくる可能性がある。
ここ数日では、バンカメが買
収したカ
ントリーワイドやメ
リルリンチの不良債権で、株価が
急落している。
先に挙げた「為替デ
リバティブ取引」は手数料だけとってリ
スクは客に押しつける詐欺商品で
ある。通貨を一定額
で購入するオプショ
ンを買っているのに「円高時にオプショ
ンの権利放棄が出来ない」。権利は銀行が
買い上げているので、今の価格と契約価格の
差分を、企
業から銀行に所得移転を
行なっている。それにより中小企業は倒産に
追い込まれている。
都市銀行が
『焼き畑金
融』を行う背景には、都市銀行内部
が火の車なのだからだ。笑えないのは、「デ
リバティブ損失」を穴埋めする形で、銀行が追加融資を
する事例があるそうだ。これこそがマッ
チポンプと言える。
(参考)
為替変動リ
スクに備えきれず 円高関連倒産、約半数が「デ
リバティブ損失」で
http://p.tl/Zzwm
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20110305/ecn1103051508000-n1.htm
http://www.motosugilaw.com/op_torihiki2.html
2011年08月17日
日米マネタリーベースでは1ドル40円が適正レート
1.お金の量は中央銀行の供給と市中銀行の信用創造行為によって発生する
中央銀行が発行する紙幣・硬貨・日銀当座預金をベースマネー(マネタリーベース)と呼ぶ。銀行の貸し出し(信用創造)によっても通貨は増え
る。
欧米は日本の民間銀行の信用創造行為を押え込むためにBIS規制で縛っている。
日本の対外資産は財務省試算で純資産251兆円となっている。漏れもあるので資産・負債共にもっと多いだろう。困ったことに資本の自由化で
国際間での信用創造行為が行われている。相手国の通貨や債権価値が暴落すると、その影響により損失がバランスシートに乗ってくる。信用創造の巻き戻しも発
生するので、マネーも収縮するだろう。
平成22年末 本邦対外資産負債残高 増減要因(試算)
http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/iip/22_g2.pdf
2.福井総裁が供給したマネーは欧米不動産バブルを引き起こした
小泉政権下、福井総裁は30兆円規模の量的緩和を実施、欧米の金融機関が日本から低利で資金調達して各国で不動産融資を行なった。その結
果、不動産価格は上昇、景気も良くなったが、量的緩和は終わり、2007年夏頃からサブプライムローン危機が発生、2008年9月のリーマンショックへと
至る。FRBは従来の倍になる通貨を供給、市中の米国債、MBSを買い上げた。
北欧・南欧の不動産バブル崩壊、ソブリンリスクの顕在化は極論すれば、日本銀行の量的緩和も原因の一つだ。訳もわからず「日本銀行カネを刷
れ〜」って連呼している人がいるが、30兆円の量的緩和が何を引き起こしたのか良く考えたほうがよい。
基本的に円は日本国内のローカルマネーのはずである。資本移動の自由化は国境を超えて中央銀行の意にそぐわぬ使われ方をする。
アジアの通貨危機からそれほど経ってもいない。あの時に短期資金移動を行うヘッジファンドの恥ずべき行為が作り出す経済危機の恐怖を学んだ
はずだ。ジョージ・ソロスの攻撃からアジア諸国を護ったのはIMF経由で日本政府がカネを出したからである。通貨危機の安定にカネを出すのは緊急事態回避
のため道義的には許されるだろう。
マネタリーベースの日米比較。
http://aki-ch.com/diary/092910.html

3.日米マネタリーベースでは1ドル40円が適正レート
結果として、ドルは過剰供給により他国の通貨よりも価値が下がった。実際の取引に反映されるのが、経済界の巨大戦艦「格付け会社」によって妨げられている
だけである。片手にリアル軍事力、もう片手に「格付け会社」を装備して、ドル価値の信任を保たせているだけである。デフォルトするだのしないだの、連邦議
会で議論になっている国の債権がトリプルAとは片腹痛い。アメリカ連邦議会とウォール街は吉本帝国劇場にでも名前を変えた方が良い。
現下、日米マネタリーベースでは1ドル40円が適正レートなのである。FRBはQE3(量的緩和政策)を実施してさらにマネー供給するだろ
う。だから、1ドル40円を超えて対ドルベースでは円高が進むのは避けられない。FXで高レバレッジ・ドルロングのポジションとって破産するのは御自由だ
が、電車に飛び込むのは勘弁して欲しい。

2011年02月08日
無尽からデリバティブ取引へ。金融制度の変遷を考える。
日本の金融の一形態である。複数の個人や法人等が講等の組織に加盟して、一定又は変動した金品を定期又は不定期に講等に対して払い込み、利息の額で競合う競りや抽選によって金品の給付を受ける。金融制度が未成熟だった明治時代においては有効に機能した面もあり、幾つかの無尽講は信用金庫・信用組合と発展していった。
1915 年に旧・無尽業法が制定され、免許制となった。無尽業法は住民や職場などで、業者を関与させずに無尽をする行為を禁止するものではなかった。現代では頼母子講(たのもしこう)と呼ばれ地方によっては行われている。起業する人物に対して地域の人達が集まり、配当率を決定して、一定額ずつ拠出する。
2. 銀行が持つ与信業務と信用創造
「与信」とは金融用語で、“信用を与える”の意味で、何らかの契約や取引を行う際に相手が信用できるか、契約や取引に必要な資力を持ち信頼できるか否かについて、事前に審査することを意味する。
銀行は与信に基づいて貸出を行いマネーサプライ(通貨供給量)を増加させる。このことを信用創造(Credit creation)と言う。
マネーサプライ(現金+預金)と名目GDP(物価×実質GDP)の比をあらわすものには貨幣の所得速度がある。
現実の統計値から貨幣量と物価の相関関係(アーヴィング・フィッシャーの交換方程式)
M*V = P*Q
M はある期間中の任意の時点tにおける流通貨幣(通貨)の総量
V は貨幣の"流通速度" (特定期間内に人々のあいだで受け渡しされる回数:貨幣の回転率のようなもの)売買契約の約定回数
P はある期間中の任意の時点tにおける物価水準(通常は基準年度を1としたデフレータ)
Q は"取引量" (特定期間内に人々のあいだで行われる取引量(quantity)の合計)
3.デリバティブは賭博罪に該当する
デリバティブ取引は、債券や証券(株式や船荷証券、不動産担保証券など)、実物商品や諸権利などの取扱いをおこなう当業者が、実物の将来にわたる価格変動を回避(ヘッジ)するためにおこなう契約の一種であり、原資産の一定%を証拠金として供託することで、一定幅の価格変動リスクを、他の当業者や当業者以外の市場参加者に譲渡する保険(リスクヘッジ)契約の一種である。尚、デリバティブの利用目的には「リスクヘッジ」の他、「スペキュレーション(投機)」「アービトラージ(裁定取引)」がある。
1999年11月29日、日銀の金融法委員会では、デリバティブが持つ賭博罪の構成要件が討議され、違法性が論じられたのである。日本銀行が困惑した点は、デリバティブが以下の刑法185条と186条に該当するというもの。
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刑法185〜186条 賭博罪
刑法185条 賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
刑法186条 常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する。
2 賭博場を開帳し、又は博徒を結合して利益を図った者は、1ヶ月以上5年以下の懲役に処する。
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取引参加者に相応しい知識・経験を備えている限りにおいて、広義の違法性阻却の観点から正当化されるが、別途デリバティブ取引が賭博罪の構成要件に該当しない旨を規定する立法を行うのが望ましい、との結論だった。
(参考)金融デリバティブ取引と賭博罪に関する論点整理
http://www.flb.gr.jp/jdoc/publication05-j.pdf
全世界にばらまかれた金融派生債券の総額が六京円-八京円。1998年に破綻したLTCMの場合「運用金額の2.5%相当の救済額」が必要だった。但し、シンセティックCDO(Synthetic Collateralized Bond Obligation / 合成債務担保証券)は複数のCDSを束ねているため解け合い解消出来ず、実損率は高くなるとの試算がある。仮に実損率が2.5%〜5%とすると、1500兆円〜4000兆円の公的資金救済が必要となる。日本の土地・株価バブル崩壊に伴う損失が100兆円〜150兆円で国内総生産の2-3割だったのと比較すると、米国のデリバティブ取引バブル崩壊はスケールがかなり大きいと言うことができる。
4. 貨幣資本が持つ役割は制限されるべき
CDS等の金融商品を日計り裁定取引(利鞘取り)で回転させることにより、フィッシャーの交換方程式に基づいて、特定期間内での取引量を増大させることが出来る。本来金融機関は与信に基づいて実体経済をサポートする信用創造を行わねばならない。近年においてはデリバティブ取引により不動産や公債を証券化して売買し、実体経済を直接介在することなく信用創造が行われた。
本源的に貨幣は労働の成果(価値)を細分化し、交換の便宜をはかる機能がある。蓄積された貨幣を資本として市場に投下するに当たり、経営に関与する度合が問われる。デリバティブ取引が発生させた金融恐慌を考慮すれば、貨幣資本が持つ役割を越えて、「貨幣のための貨幣」「資本のための資本」という実体を伴わない金融取引は制限されてしかるべきだろう。