2007年10月22日

星方武侠アウトロースターとゼーガペイン〜量子力学が結ぶ8年越しのエンタングルメント〜

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○はじめに
 書かねば始らず、書かねば伝わりませんので、取り敢えず書いてみますが、
「お前何言ってんの?」
と問われればおっしゃるとおりで、自分でも深い理解なしに書いています。

○1998年当時はカウボーイビバップに埋もれてしまったけれども、キラリと光るコミカルSFアニメ星方武侠アウトロースター
サンライズは1998年に似たようなSFアニメを発表します。一つはカウボーイビバップ、もう一つは星方武侠アウトロースター。2作品とも中国文化圏が標準になっており、賞金稼ぎが宇宙船で星から星へと旅をして、個性の強い仲間達とあれこれ騒動を起こすという共通点があります。
 カウボーイビバップはシリアスな作風でキャラクターのかっこよさや気の強さを演出して、アウトロースターは陽気で豪胆なジーン・スターウインドと人工生命体で存在の希薄なメルフィナとを主軸に話しが進みます。
 カウボーイビバップは知名度も高く、DVDも売れましたが、アウトロースターはアニメマニアなら知る人ぞ知るという浸透具合でした。本郷みつる監督自ら手がけたパースのかかった宇宙船の戦闘シーンは独特な作風で印象深いものでした。一方、SF設定がかなりマニアックで、XGP-15A2・アウトロースター号を制御するのは人工生命体のメルフィナと補助の人工知能のギリアムU、操縦に当たるジーン・スターウインド、コンピューターサポートのジム・ホーキングといった具合です。人工知能のギリアムUは最速グラップラーシップとしての自尊心はありますが自らの存在に対する悩みもないのですが、メルフィナは最後まで自分の存在を問いつづけます。

○ゼーガペインを育んだアウトロースター
 アウトロースターは終盤にマクドゥーガル兄弟の生体バックアップのようなものが出てきます。生命体のコピー設定は古くは宇宙海賊キャプテンハーロックに出てくる女王ラフレシアが演じています。ラフレシアは単純コピーですが、アウトロースターの場合は意識を移し変える器としての生体バックアップです。映画「マトリクス」のようなものでしょう。
 ゼーガペインは更に設定を進めて、量子コンピューター内部に生体データを含めた都市まるごとバックアップを実現しています。生命体を量子コンピューターに量子テレポーションし、データ状態にしたと言えます。
 量子コンピューターとは粒子「A」のスピンを「B」へ転送するという動作原理を用いたものです。量子テレポーテーションでは「相関のある状態の組」を測定して送信側から受信側に先んじて転送を行い、受信側がその情報に基づいて量子力学的操作をすることで初めて送られた状態が再現します。
「相関のある状態の組」を量子もつれ(りょうしもつれ、Quantum entanglement)と言います。
ゼーガペイン作中ではオケアノス(戦艦)やゼーガ(モビルスーツのようなもの)へのダウンロードする際に搭乗員は「エンタングル!」と叫ぶわけですが、これはクオンタム・エンタングルメントから来ているようです。
 アウトロースターでは量子力学的な説明はなく、物語の設定上「マクドゥーガル兄弟の生体バックアップ」が出てくるだけですが、この設定を極大化して再構築したものがゼーガペインと言えます。両作品共に原案者は伊東岳彦であり、赤毛ツンツンで前向きで奔放な性格主人公を据え、ヒロインは共に人工生命体で声優は川澄綾子を起用、そして新居昭乃の歌うオープニングやエンディングなどと共通点は2作品に数多く見られます。

○複雑なSF設定を盛り込んだゼーガペインが語るものとは?
 ゼーガペインは学校と戦場を相互に行き来するというスーパーロボットアニメ時代から営々と続く黄金律パターンを用いておりまして、SF設定について深く考えることなく見ることができます。学校をベースに物語を立てて行くのは、視聴者にSF設定の違和感を無くして見てもらうための標準スタイルです。
『ゼーガペイン』の非公式ファンサイト
http://mania.sakura.ne.jp/zegapain/index.php?TopPage
↑を読んでみると、SF考証的には御都合主義なところもありますが、説明がされていなかったりする部分は解釈の余地があるので、侃々諤々の議論を呼んでいるようです。一つ一つを考証して製作者込めた意図をさぐっていくのも楽しいかもしれません。
 ゼーガペインとは「偉大なる痛み」を意味します。タイトルの通り、この作品は見ている者に痛みを強いるかもしれません。それは登場人物が作中で苦しむ様を見て、自分の辛い学校経験や失恋などのフィードバック作用をもたらし、更には胸元に鋭く自己存在について問われるからです。
 ゼーガペインの量子サーバーは5カ月ごとにループしますが、我々有機生命体は一期一会の限られた時と空間で、人と人がエンタングルしていることを痛切に感じさせるのです。
 私は若い人達にぜひともゼーガペインを見てもらって痛みを感じ、自己の存在を問うて欲しいと思います。人は究極には「我思う、ゆえに我あり」なのであって、痛みを感じることによって自分の存在を認識します。そして、「他者」と「私」、「意識」と「体」、全て一方だけでは成り立たちません。自分が存在することを確かめる、そして存在し続けるには、「他者」が必要なのです。ゼーガペイン作中にでてくる「色即是空空即是色」は、「物質は絶えず変化し実体がないのだから五感に拘わるな」という意味でありまして、量子力学でいう「粒子と波動の二重性」と同じ体を表すそうです。仏教では物質は空間を占め、意識は時間を占めるという思想でありまして、固定観念・先入観を排除し、「空の思想」によってさまざまな縁によって生かされ生きているという自己の存在に気づけということのようです。つまり、ゼーガペインは一見すると、ジュブナイルアニメーションでありながら、人の存在と認識を問いかける哲学映像作品でもあるのです。
 余談ですが、ゼーガペインの量子サーバーは千葉県の舞浜をシミュレートしていますが、奇しくも最終回放送日に東京駅の配電盤で故障が発生して舞浜の電車が止まりました。作品を注視していた人達は何か因縁めいたものを感じたようです。
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2007年10月15日

アニメ界の至宝、逢坂浩司様崩御-美少年キャラクターデザインを牽引したアニメーター逝く-

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敬称略
○Vガンダムから獣王星まで
 ショタコンという言葉があり、『鉄人28号』の主人公・金田正太郎に象徴されるアニメなどに登場するいわゆる「2次元」キャラクターに愛情を抱く事を差す。私はバビル2世の主人公に萌えた記憶がある。調べてみるとバビル2世=古見浩一という言うそうである。今見返すとあまりかっこよくない(^-^;。当時としては、ダイナミックなストーリーと作画で子供心を鷲づかみにしたのだろう。
 なぜか不思議な事なのだが、女性が描く女性キャラクターは萌えるのだが、女性が描く男性キャラクターにはあまり萌えない。男性の一流キャラクターデザイナーの作品は男性キャラクターも女性キャラクターにも萌える。
 90年代から昨今に到るまでアニメ業界を牽引した、逢坂浩司という優れたキャラクターデザイナー&アニメーターが先日亡くなられた。マンガやアニメの世界は相互に影響を及ぼしあって過去の遺産の上に作品が築かれていく。それはストーリーや演出のみならず、キャラクタデザインにおいても同じである。であるから、逢坂浩司と言えどもすべて独創の為せる技では無かったはずであるが、現役で最先端を走っていたアニメーターの死去がオタク業界に及ぼす影響は小さくはないはずだ。
 私が特に印象に残っているのは「機動戦士Vガンダム」「天空のエスカフローネ」「獣王星」である。
(参考)
アニメーション再興の礎となった機動戦士Vガンダム
http://wanwanlapper.seesaa.net/article/35156117.html
 逢坂浩司のキャラクターデザイナーデビュー作品はVガンダムである。「Vガンダム」主人公ウッソ・エヴィンのデザインはかなりあか抜けてシンプルである。そして、老若男女多数の登場人物を個性的に描き分けていた。「天空のエスカフローネ」では作風から勘案してディランドゥ・アルバタウ配下の竜撃隊隊員であるシェスタ、ミゲル・ラバリエル、ガァティ、ダレットらを担当したと思われる。他「機動武闘伝Gガンダム」「機巧奇傳ヒヲウ戦記」「絢爛舞踏祭 ザ・マーズ・デイブレイク」のキャラクターデザインを担当しているようだ。
 そして、「獣王星」である。逢坂浩司がキャラクターデザイン・総作画監督・作画監督として参加しており、「獣王星」のビジュアル世界は逢坂浩司の強いコントロール下に有ったと思われる。あくまで私の主観であるが、「獣王星」のキャラクターデザインは日本アニメ界において最高峰の域であったと自認している。

○逢坂浩司、結城信輝との相生と相剋
 「Vガンダム」後、サンライズはバンダイに買収され、資本や広告代理店との連携が強化されたためか、以前では考えられなかった潤沢な予算で、「天空のエスカフローネ」は製作された。
原作:河森正治 監督:赤根和樹 キャラクターデザイン:結城信輝 アニメーションディレクター:逢坂浩司の布陣であり、その後、河森正治、赤根和樹、結城信輝らは株式会社サテライト設立へ向い、一方逢坂浩司はボンズ設立に関って取締役に就任する。
 Wikiをみると、「天空のエスカフローネ」はヨーロッパで受けたようである。ジブリ製作の「ゲド戦記」を見て気づいたが、エスカフローネはアーシュラ・K・ル=グウィン原作の「ゲド戦記」に影響を受けているようである。ゲド戦記の主人公はアレンで真の名はレバンネンである。エスカフローネも剣と竜の世界観でありゲド戦記に酷似しており、主人公はヴァン、ライバルはアレンだ。欧米の人達が抱く18世紀以前の幻想の世界観にマッチしていることも、エスカフローネが受け入れられた理由と思われる。そして、天空のエスカフローネは2000年に劇場版が公開される。
 赤根和樹、結城信輝らは2002年に「ヒートガイジェイ」を製作。アンドロイドで作中では「マシーン」と呼ばれる「ジェィ」がタイトル名に入っているが実際の主人公はダイスケ・アウローラであり、明らかに美少年を演出する意図が随所に見られる作品である。結城信輝入魂の一作となっており、原画集が同人誌として発売されているが、現在高値で取引されている。
 ここから先はあくまで私の見立であるが、「ヒートガイジェイ」対する逢坂浩司の返答が2006年「獣王星」であったと思う。飄々として陽気な「ヒートガイジェイ」のダイスケ・アウローラと、悲壮な運命に翻弄される「獣王星」の主人公トール・クラインとはかけ離れた舞台設定ではあるが、バビル2世的な冒険活劇上の美少年キャラクターを演出するという点においては共通している。
 直後、2007年にテレビアニメ版「地球へ・・・」で結城信輝キャラクターデザインとして参加している。穿った見方をすると、「獣王星」の原作は「地球へ・・・」の原作からインスパイアされているかと思われるほど、類似点がある。生命の人工的管理に基づくエリートの創成や、地球に対する望郷、少年期において運命を共にした二人の美少年といった点などである。
 偶然にも、「Vガンダム」でウッソ・エヴィンを演じた坂口大助が「ヒートガイジェイ」でクレア・レオネリを演じ、「エスカフローネ」でディランドゥやセレナを演じた高山みなみが「獣王星」でトール・クラインとラーイ・クラインを演じている。クレアとディランデゥは狂気染みた性格設定が似ている。坂口大助と高山みなみとでは少年キャラクターを演じる上で、声の太さで坂口に分があるように感じられる。しかし、高山みなみの気丈なトール・クラインと気弱なラーイ・クラインの演じ分けの妙技においては、声優界の重鎮ならではの演技力を観ずる事が出来る。
 ひょっとしたら、ダイスケ・アウローラのネーミングは坂口大助から来ているのかもしれない。

○逢坂浩司の死を最も悼んでいるのは結城信輝なのだろう
 キャラクターデザインというのは姿形や服飾、ポーズ、表情を「設計」するわけだが、監督との協同作業で作画監督として演出まで携わることがあるようだ。逢坂浩司は結城信輝と共に演出面にまで精通した希有なアニメーターであったと言える。
 結城信輝は逢坂浩司と共にエスカフローネを製作して、その後所属法人が分かれたが、作品を通じてアニメ界という広義においては競業していたと言えるだろう。美少年を演出するという比較的少ない作品世界においては双璧とも言える人物同士であり、この分野の第一人者の片方が亡くなったのである。その衝撃を最も強く受けたのは結城信輝なのではなかろうか。
 
逢坂浩司
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%A2%E5%9D%82%E6%B5%A9%E5%8F%B8
【訃報】逢坂浩司さん
http://hikawa.cocolog-nifty.com/data/2007/09/post_263f.html
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2007年09月18日

地球少女アルジュナを見てな〜-地球環境問題を真正面から取り組むアニメ作品の登場によるパラダイムチェンジ-

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○新世紀エヴァンゲリオンはビジュアル面だけの新世紀やで
 こにゃにゃちわー、ケロちゃ・・じゃなくてぇ、たかおんでーす。
今日はみなが驚くアニメを紹介するでー。
その前に、なんや、今時はエヴァンゲリオンの新作が上映中ってことで、そっちばっかり話題になっとる。
確かに1994年のエヴァンゲリオン登場には皆が驚いたわー。
秘めた謎の複雑さや内面真理を執拗に描き、現代前衛芸術のビジュアル面を積極的に取り入れる実験的要素も強かったわ〜。
でも、ガイナックスの連中は科学文明万歳という旗を掲げているんや。
ミサトさんが大型トレーラーの中で、カーエアコンにあたりながら
「現代文明の勝利ねぇ」
というシーンがあんけど、草稿では原子力発電を賛美するよな内容やったらしい。
そないこともあって、ガイナックスはアニメや特撮のオマージュにビジュアル面での新世紀を作るという作風やったが、主義主張的には脱手塚・宮崎路線やったのかもしれんわ。
新世紀といえば、2001年が新世紀や。21世紀元年や。
その2001年に「地球少女アルジュナ」ちゅー作品がテレビ東京で放送された。

○環境問題を真正面から描いた「地球少女アルジュナ」こそがアニメ新世紀の開拓者や
 なんか、、やけに社会問題に深く突っ込んだ作品が増えたやな〜と2004年あたりになって気づいたんやけど、竹田青嗣辺りが頑張ってるだけなのかなぁというわけでもないようやったんや。いろんなスタジオが物語の枠組みに社会・環境問題をはめ込むようになってきたんや。
 わい、先日、地球少女アルジュナちゅー作品を見たんや。映像演出的には 「彼氏彼女の事情+エヴァンゲリオン風味」で、んでもって放射性廃棄物問題・環境問題・遺伝子組換えの問題等を語るアニメになっとるんや(^-^;
 環境問題を語るためにアニメの演出を借りたといっても良いほどで、作中には不耕起栽培、農薬、野菜ジュース、遺伝子組み換え作物、自由貿易、酸性雨 、抗生物質配合飼料、薬剤耐性菌、 原油分解細菌、遺伝子汚染、プラスチック製品 、原子力発電所、放射性廃棄物、異常気象、土壌汚染、海洋投棄 がでてくる。もはや、地球環境問題のフルコースで国士無双役満状態や。
 取り敢えず、1話を東京電力勝俣恒久社長に見せたらええわ。泡吹いてぶっ倒れるでぇ。
 そない、環境問題ばかり語るアニメやと、青臭くて見れんと思うとる奴もおるかもしれんが、そないことはない演出になっとる。作品を通じて描かれるのはヒロインの有吉樹奈(ありよしじゅな)と恋人の大島時夫(おおしまときお)のラブストーリーであって、樹奈は「ガドガード」や「トップを狙え2」よろしく、実体化したロボと一緒にガンガン戦闘もするんや。
 監督の河森正治はマクロスシリーズで有名やけど、サテライトというアニメ会社の取締役に就任して、サテライト元請け初作品ということで、「地球少女アルジュナ」を製作したようや。株主にパチンコ屋のSankyoがおるんで、さすがにパチンコ批判だけはなかったわぁ(^-^;

○一口に環境問題の映像化ちゅーけど、大変な労力やったことは想像に固くないわ
 「地球少女アルジュナ」は自然保護団体が上映会を開催したらしい。そないわけやから、微に入り細に入り、環境問題を映像化してるんや。これは見てるぶんには楽やけど、作るとなったら大変やでぇ。よくミュージシャンがレーベル移籍すると、移籍一作目は労作になるな。この作品も同じような状態やったのかもしれんな。
 河森正治入魂の一作である「地球少女アルジュナ」はまさに新世紀に相応しい作品や。手塚・宮崎の次世代を担う旗手河森正治がアニメ新世紀を切り開き、多くのクリエイターがそれに続いているからこそ、今のアニメ産業を支えておれるのかもしれん。少なくともわいはそう信じとる。
 あ、余談やけど、音楽面では「菅野よう子+坂本真綾」のタッグで、印象に残る手堅い作りになっとる。
 ほなっ(^ー^)ノ

地球少女アルジュナ
http://www.bandaivisual.co.jp/arjuna/

「アクエリオン」OPテーマが話題のAKINO、菅野よう子作曲のアルバムを発表!
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=296082&media_id=13
posted by たかおん at 10:03| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(2) | アニメ批評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月04日

飯島勲に魂を売ったGonzoの経済的敗北は必定-国政を壟断した飯島勲首相秘書官を追求せよ!-

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○Gonzoは『独占取材!私だけが知っている小泉純一郎』の制作を担当
「アニメDVD市場が悪化」、GDHが最終赤字予想
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0610/27/news122.html
Gonzoの親会社が大赤字だそうだ。
私はGonzoの敗北はDVD市場云々とは別の所にあると考えている。
Gonzoは『独占取材!私だけが知っている小泉純一郎』という小泉純一郎と飯島勲の提灯番組アニメを担当した。番組のアニメは申し訳程度の出来栄えだった。幾ら貰ったのか知らないが、この様な時の政権の提灯番組制作に関与するデメリットを勘案しなかったのだろうか?
クリエイターは自己主張の強い人が多い(と私は思う)。当然、ある程度の智見を兼ね備えているクリエイターは、小泉政権シンパの如き振る舞いをするアニメスタジオ法人とは距離を起きたがるだろう。
鶴瓶が飯島勲を演じていた。鶴瓶の雑誌取材を見ていた事があるが、鶴瓶は芸人のしきたりにうるさいだけの何も中身の無い男である。

『独占取材!私だけが知っている小泉純一郎』(10/8放映)を見た。
http://www.kaokab.jp/ranking/kao%20news/iijima-isao-hishokan.html
『独占取材! 今明かす 小泉純一郎の「正体」』
http://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2006/06-337.html
飯島勲秘書官がテレビに出演し、遺書について語った! [らくちんランプ]
http://www.asyura2.com/07/senkyo35/msg/556.html
「飯島勲 首相政務秘書官」
http://www.taka-watch.com/nikkei-main66.htm

○ Gonzo vs Production IG
Gonzoはフルデジタルアニメ「青の6号」で旗揚げした。ガイナックスからの分派である。
http://animejapan.cplaza.ne.jp/b-ch/ao6_ova/ao6_ova.html
「青の6号」の発展形が「LAST EXILE」である。
http://www.jvcmusic.co.jp/m-serve/last-exile/

Production IGのデジタルアニメーションは自然な画質なのだが、Gonzoのはデジタルっぽい雰囲気をわざと残していると思われる。
また、私は2社が相克の関係にあると邪推している。
巌窟王(Gonzo)
http://www.gankutsuou.com/
vs
シュヴァリエ(ProductionIG)
http://www.chevalier.tv/
巌窟王の主人公モアルベールとモンテ・クリスト伯を足すと、『コードギアス 反逆のルルーシュ』のルルーシュの人格になる。アルベール及びルルーシュは同じ福山潤が演じている。
ちなみに、苦境に喘ぐGonzoと対照的に『コードギアス 反逆のルルーシュ』はDVD1巻から3巻だけで22万枚のセールスを記録している。
「シュヴァリエ」は革命前夜18世紀フランスが舞台。原作者の冲方丁(うぶかたとう)をして「日本こそ革命前夜」と言わしめる。作品に込める気概の深さの差からか、「シュヴァリエ」は「巌窟王」を圧倒する映像及びシナリオとなっている。

SPEED GRAPHER(Gonzo)
http://speed-grapher.com/top.shtml
vs
Blood+(ProductionIG)
http://www.sonymusic.co.jp/Animation/blood-tv/
「Blood+」は竹田菁滋プロデュースの「コードギアス」に連なる反米アニメの系譜に属する。
反米アニメの系譜(参考)
http://wanwanlapper.seesaa.net/article/41734405.html

SPEED GRAPHERは日本社会の桎梏(足かせの意味)を現し、近年の日本アニメーションに習い「日本の社会問題」を真正面から問うた作品である。
美少女の演出としては、Blood+を上まわるかと思われる部分もあったが、SPEED GRAPHERのアメリカの描き方が80年代の大友克洋的で、「外に居座るスーパーパワー」という風情であった。認識不足と言わざるをえない。
見比べて見れば解るが、作品総体での評価はBlood+がSPEED GRAPHERを圧倒する。

2000年にセルアニメの時代が終わり、デジタル化が進んだ。一方で、内容の深化も進み、GonzoはProducionIGに映像的にも内容的にも出遅れた感じがある。
 Gainax(ガイナックス)は庵野監督の敷いたレールの上しか進めず、非庵野鶴巻系作品は凡庸である。
バンダイに買収されたサンライズは頑張っている。サテライトも良い作品を出している。
http://www.satelight.co.jp/index.html

とりとめの無い解説だが、飯島勲に提灯を付ける政治的了見の悪さはGonzoに致命傷をもたらす可能性をここに予言しておく。


○というわけで、小泉純一郎の復活を全力で阻止せよ!
 安倍政権の新内閣が発足した。小泉純一郎・竹中平蔵と正面衝突した与謝野馨が起用され、小泉純一郎の復権の芽が摘まれたと言われている。
小泉純一郎の復活を全力で阻止せよ!そのために、国政を壟断した飯島勲首相秘書官を追求せよ!
以上

以下参考リンク集
待望の「初入閣」で恩義? 飯島氏宛の松岡遺書中身
自殺当日も病院にいち早く駆けつけ
http://www.zakzak.co.jp/top/2007_05/t2007053015.html
2007年05月30日
飯島勲秘書官がテレビに出演し、松岡農相の遺書について語った!
http://blogs.dion.ne.jp/spiraldragon/archives/5680375.html
週刊誌を、起訴しまくった小泉官邸秘録 飯島勲
http://officematsunaga.livedoor.biz/archives/50325032.html
飯島勲首相秘書官からマスコミに圧力。隠蔽工作を暴くブログの可能性
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=102864
凄腕「飯島秘書官」の仕組んだ作戦
http://plaza.rakuten.co.jp/kannon/diary/200508130000/
【スクープ】 安倍新内閣、飯島秘書官を排除!!
http://outlaws.air-nifty.com/news/2006/09/post_f4e5.html
イスラム金融と小泉元首相と飯島元首相秘書官の接触
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=159418
■ こないだの勲ちゃん
http://www.nikaidou.com/cat1/cat10/cat8/
右翼団体「正気塾」幹部等逮捕は「飯島秘書官襲撃計画」の別件逮捕?
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/2004/12/post_24.html
「民営化」の裏でロンダリング?
飯島秘書官の長男、産廃助成獲得に関与 NEDO側配慮(朝日新聞)[2005年05月10日]
http://diary.jp.aol.com/druhcfrzcms/737.html
首相秘書官の資産が急増 「別荘」建て、高級車も2台
http://j.peopledaily.com.cn/2003/10/26/jp20031026_33500.html
エラソーな飯島秘書官、ナーンもしない小泉首相 (ゲンダイネット)
http://renshi.ameblo.jp/renshi/entry-10016433325.html
飯島 勲氏、安倍政権は「政治手法が違う」と批判
http://blog.goo.ne.jp/sinji_ss/e/d9e204ff82ddffb76a23138f1600d2ed
歴代厚相の責任追及も、年金記録漏れで下村官房副長官
http://klingon.blog87.fc2.com/blog-entry-254.html

DVDが売れない時代のアニメビジネス GDHに聞く
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=282752&media_id=32
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2007年06月21日

『電脳コイル』がお薦め!〜実力派声優、夢の共演〜

61mdvk1yJRL._SS500_.jpg(敬称略)
NHKが送り出すアニメーションの歴史
 NHKのアニメ枠での最初の作品は1978年の「未来少年コナン」だと記憶している。テレビアニメでも傑作の呼び声が高く、私個人の反戦思想は未来少年コナンの影響を強く受けている。1990年には「未来少年コナンのような作品」を、というNHK側からのオファーに基づいて、「ふしぎの海のナディア」が放送された。 1998 - 1999年にはNHKにて「カードキャプターさくら」が放送され、アニメについてはあたかもNHKが主導権を握っているような状態にすらなった。2000年以後も「無人惑星サヴァイブ」などの良質な作品が送り出された。

2007NHKにて『電脳コイル』登場!
 『電脳コイル』は磯光雄監督・本田雄キャラクターデザインにて「sirial experiment lain」と「となりのトトロ」と「じゃりんこチエ」をまぜこぜにして、最新の演出を凝らした作品である。sirial experiment lain」は陰々滅々鬱アニメだったが、 『電脳コイル』は明るく快活なキャラクターが多く、シリアスな内容にも関らず見ていて楽しい演出が満ち満ちている。 イサコの電脳ペットである「モサモサ」という「真っ黒くろすけ」そっくりなキャラクターも登場するし、「となりのトトロ」のメイそっくりの京子は「ウンチ!ウンチ!」と指差し連呼しながら走り回る。 『電脳コイル』はサイバーパンク的な技術を現実世界とシームレスに表現しており、電脳世界の情報は「電脳メガネ」によって現実世界に重ねて表示され、手で触れて操作できるようになっている。であるから、ビジュアル的には電脳空間を完全に分けて描いていた「攻殻機動隊」よりも、現実との虚実ない交ぜの演出を行なっていた「sirial experiment lain」に近い。『電脳コイル』は「lain」よりも、もっと現実世界との「重なり合い」が強く、旧来のアニメーションが抱えていた現実世界と電脳世界との差異を、押さえる作用をもたらしている。 

○名声優、夢の共演
 今から思うと、「無限のリヴァイアス」が鮮烈な印象を残したのは声優陣の優れた演技力に裏打ちされた演出が基底にあった。蓬仙あおい(桑島法子)と和泉こずえ(丹下桜)、当時2大女性声優による共演が作品を支えた。泣き演技をさせたら右に出るものはいない丹下桜だが、カードキャプターさくら(さくら)、アンドロイド・アナ MAICO 2010MAICO)でもその実力が伺える。丹下桜は現在声優業を休業している。誠に残念である。
 『電脳コイル』では、主人公ヤサコに折笠富美子を起用。機動戦士ガンダムSEED DESTINY(メイリン・ホーク) 、コードギアス反逆のルルーシュ(シャーリー・フェネット)で見られるとおり、とても澄んだ声質、いわゆるクリスタルボイスである。
 イサコは桑島法子が演じている。桑島法子こそが声優界に君臨する女王様である。イサコは小学生なのに「へそ出しルック」で、精神年齢が高い。イサコの役柄自身が女王様であり、まさに現在の桑島の地位を体現するかのようである(^-^;。桑島の声質の幅は広く、“ロリ声役”はアルジェントソーマ(ハリエット・バーソロミュー)が該当し、もっとも硬質な声色は機動戦士ガンダムSEED(ナタル・バジルール)だろう。イサコ役はナタル・バジルール調にやや感情の強弱を強めに含ませた雰囲気になっている。電脳コイル4:大黒市黒客クラブにおける、
「コイルじゃ、所詮むりむり」
「潰れろ!」
「私から情報をかすめとろうとはな。実力は解ったわ、小さな魔女さん」
という台詞が続けてある。それぞれの台詞に対する、感情の込め方の起伏が秀逸である。
 京子を演じる矢島晶子は多くの声色を持つ。クレヨンしんちゃん(野原しんのすけ)役で知られているが、もっとも注目を集めたのが、BLOOD+(宮城リク、ディーヴァ)の2役だろう。ショタコン垂涎の宮城リクを演じたが、なんと、1人二役で演じているディーヴァがリクを殺すことになる。ちなみに、2006年産まれの男の子でもっとも多い名前が「りく」だった。ゲームでも「リク」というキャラクターがいるようなので、すべてがBLOOD+の宮城リク(みやぐすくりく)の存在の影響とは断定は出来ないが、少なからず影響力があったのは間違いないだろう。
 ハラケンを演じる朴美(ぱくろみ)は富野由悠季監督の引きで、ブレンパワード(カナン・ギモス)でデビュー。∀ガンダム(ロラン・セアック)で主役を演じて注目を集める。∀ガンダムのストーリー自体が大陸からの文化を運んできた渡来人=ムーンレイス(先進文明である月の民)と見立て、彼等と地球の人々が交流するというシチュエーションである。朴美自身は在日韓国人である。かつて、ジョニー大倉が韓国人名で映画に出演したが、その後冷や飯を食わされて、日本名に戻している。
 一方、朴美は声優デビュー当初から韓国人名であり、今や押しも押されぬ大声優となり地保を築いている。この事が富野由悠季自身の強い押しもあって実現できたのは、私自身が∀ガンダムの舞台挨拶を見て確信できた。だから、個人的には∀ガンダムは作品の内容うんぬんというよりも、朴美を送り出したロケットみたいな捉え方である。 ZEGAPAIN -ゼーガペイン-では「マオ・ルーシェン役」を精神的な強い少年として演じて作品を牽引した。ハラケンは一転、気の弱い少年役である。後々どのようなキャラクター変移があるのか楽しみである。 というわけで、『電脳コイル』は当代切っての名声優が揃って出演しているという点においても注目作品なのである。

 
オーディオの余談
○長岡派異端のたかおん、リファレンスは桑島法子様の声
 「長岡派」で検索すると、長岡瞽女(ながおかごぜ)というのが出てくる。http://web.nou.ne.jp/~gozeyado/nagaokagoze.html
なかなか、考えさせられるページであるが、私の言う「長岡派」はまた別である。
 オーディオマニアで言うところの長岡派は長岡鉄男氏のファンであって「長岡教信者」とも言われる。生粋の長岡派は優秀録音盤や高尚な音楽CDをリファレンスにしている。私はオーディオ界の異端である長岡派の更なる異端なので、マクロスプラスのサウンドトラックをリファレンスCDとしている。
 しかし、本当に聴覚上の感性を刺激するのは桑島法子様が演じるNoirの夕叢霧香の声である。「ミレイユ、私を撃って!」と、少し切なげに訴える声に脳幹が揺さぶられる。その「声の艶」が今時のデジタルアンプでは出ないのだ。サンスイ製のアナログパワーアンプB-2103Mosが圧倒的に良かったのだが、今は外してしまっている。バックロードホーンをフルレンジ駆動で使うアンプではPanasonicのデジタルアンプSA-XR55の方に部があるからだ。
 デジタルアンプは低音の音の輪郭がしっかりしており制動も効く。高音も低歪みでクリアーである。中音はアナログアンプがかなり優位である。ボーカルや台詞に艶が乗る。「声の艶」は一種の歪みなのかは、よくわからない。
 心の奥底に静まっている感情を瞬時に沸き上がらせる力をもつのは中音である。真空管アンプも中音は良い。しかし、真空管アンプの美味しく聞ける音域があまりに狭く、しかも電源を入れてから音だしまでの時間が20分などと言われているので運用上問題外である。使うとしたら、5Wayぐらいのチャンネルデバイドマルチの中音ユニット駆動専用だろう。
 アナログアンプは真空管アンプほどには艶が乗らないが、ほどほどに艶が乗る。格種アンプの相対評価ではアナログアンプの中音がもっとも現実に近いような気もする。アナログアンプは美味しい帯域が広いので、3Wayの中音ドライバー駆動でも使えるだろう。コンプレッションドライバーもチャンネルデバイダーも入手したが、ドライバーとホーンを繋ぐアダプターが調達出来ていない。旋盤を買って自作するなどという壮大な計画もあるが、私のようなぐうたら者にはいつ実現できるのか皆目検討も付かない。 それでも、桑島法子様あってのオーディオシステムであるのだから、桑島法子様の声が奇麗に聴けないオーディオシステムの存在価値は大きく低減してしまうのであり、リファレンスである桑島法子様の声を奇麗に聞けるシステムを目指すのが、私の進むべき道なのである。

(参考)
----以下昔書いた文章の転載----
桑島法子とその時代
 
(敬称略)
○アニメは声優と共に寓話を紡いできた
 あたり前の事だが、アニメキャラクターは声優が声をあて、命を吹き込んできた。ルパン三世役の山田康雄は「舞台経験の無い声優は力量不足」という趣旨の発言をしていた。確かに70年代のアニメは俳優が声優を演じる事も多かった。「ベルサイユのバラ」のTVアニメ版は田島令子(オスカル・フランソワ・ド・ジョルジュ)と志垣太郎(アンドレ)が演じ、舞台俳優の経験を活かした力量溢れる鮮烈な演技を見せた。当時は俳優・女優さんが「儲かる声優業」への進出が多かったようだ。やがて、声優専業の人達が独自の表現世界を作っていくことになる。

○宮崎駿と声優
 赤毛のアンの声優オーディションで高畑勲監督は山田栄子を採用、島本須美は落ちたが、その時に宮崎駿の目に止まる。後に「カリオストロの城」でクラリス役として起用した。
徳間書店ロマンアルバム「風の谷のナウシカ」でのインタビューによると、風の谷のナウシカのアフレコの時、島本須美の声について宮崎駿監督は「あと2年早かったらねぇ・・・」と、「カリオストロの城」のクラリスから声が老けたことについてコメントしている。
この後も「となりのトトロ」で日高のり子、「魔女の宅急便」で高山みなみと実力派声優を抜擢していく。しかし、反天皇教アニメの金字塔「もののけ姫」で女優の石田ゆり子、千と千尋の神隠しで実年齢とのリアリティを追及したキャストとして柊瑠美、「ハウルの動く城」ではハウルで木村拓哉・ソフィで倍賞千恵子を起用している。
私はもののけ姫のキャスティングから大いに疑問を感じていた。一線で活躍する声優陣には力量で及ばず、素晴らしい作画に「声」が付いてきていない感じを受けた。柊瑠美は12歳という千尋の実年齢と同じ女の子が演じたが、初々しさに魅力があるものの、やはり素人っぽさが出ていた。ハウルの動く城に至っては、ナウシカの島本須美を「あと2年若ければ」とのたまった宮崎駿にして、倍賞千恵子にティーンエイジャーの女の子を演じさせる始末である。演技力はあるがさすがに無理を感じた。また、ハウル役の木村拓哉は実力の観点から大いに疑問である。
宮崎駿は声優を嫌っているという噂もある。ハウルの動く城は広告代理店への配慮をした配役なのだろうか、私には知るすべがない。実力派声優と共に歩んできた宮崎作品だが、知名度を優先した配役へと転じていくにつれて、キャラクターへの「萌え」要素を減じることとなった。良い方へ考えると、宮崎駿の狙いは作品全体でメッセージを発することにあり、キャラクターの暴走を忌避しているのかもしれない。
○ブルージェンダーとの遭遇
 1993年に富野由悠季のVガンダム、それに触発されて、1997年にエヴァンゲリオンが発表される。エイリアンとの遭遇戦闘を基盤して観念的な世界を描くという手法は「イデオン」−「エヴァンゲリオン」−「ラーゼフォン(RAhXePhON)」と引き継がれるが、平行して幾つもの作品が発表されている。
エヴァンゲリオンは内面世界を延々と映像化して登場人物に多くを語らせた、これは脚本家山口宏が主導した。後に「ベターマン(1999年・山口宏)」でより一層深化させる。一方、エイリアンとの対話という道筋は「アルジェントソーマ(2000年・山口宏)」「ラーゼフォン(2001年)」「蒼穹のファフナー(2004年)」が引き継ぐ。「蒼穹のファフナー」は「アルジェントソーマ」へのオマージュ色が強い。最初の放映話でメガネをかけた美少女が死ぬ事や、エイリアンの世界へ行ってしまった人物が戻ってきて対話をするという点などである。  話しは前後するが、1999年にBlue Gender(ブルージェンダー)という作品が深夜枠で放送され、私はそこで、桑島法子の演じるマリーン・エンジェルを見た。オープニングやエンディングの曲も桑島法子が歌い、まさに桑島法子づくしの作品だった。作画はVガンダムを凌駕する程の荒れ具合であったが、私は桑島法子の演技に強く惹かれた。戦闘マシーンとして地球に送り込まれるマリーンがやがて人間味を取り戻していく過程を細やかに演じていた。そこでは、声優が作品を支配する等というあり得ないことが起きていたのである。
 
○桑島法子と共演した人達
 多くのアニメファンは機動戦士ガンダムSEEDでの桑島法子を演じたナタル・バジルールとフレイ・アルスターを知っているだろう。三石琴乃(ラミュー・ラミアス)vs桑島法子(ナタル・バジルール)という信頼と確執の狭間に揺れる女同士のつばせり合いの原形はNoirの桑島法子(夕叢霧香)vs三石琴乃(ミレイユ・ブーケ)にある。Noirはキリスト教原理主義の原罪をモチーフにした作品である。原作者の月村了衛はNoirの世界観を描くために総力で挑んでいると、私は感じた。主人公の夕叢霧香は平たく言うと教会が育成した殺し屋である。最初に見たときに、女子高生の制服を着た夕叢霧香がじゃんじゃん人殺しをするので、一見してなんと不謹慎なアニメなのだろうかと嘆いたものである。しかし、恥ずかしながら申し上げると、桑島法子の演じる夕叢霧香の魅力に取り憑かれてしまった。それも、三石琴乃の演じるミレイユ・ブーケとのやりとりで醸成されたものであり、機動戦士ガンダムSEEDへと引き継がれている。
Noirに近い世界観の作品はとしてはGUNSLINGER GIRLがあり、主人公ヘンリエッタは南里侑香が演じている。南里侑香はとても声が奇麗で、劇場版作品「雲のむこう、約束の場所」での沢渡佐由理役でも、その声の魅力を発揮している。
浦沢直樹のMONSTERでは桑島法子はベトナム人女医としてちょい役で出ている。桑島の声は能登麻美子(ニナ・フォルトナー)に似ている。作品中ではベトナム人女医役として圧倒的な存在感があった。

○ハリエット・バーソロミューとステラ・ルーシェ
 機動戦士ガンダムSEED DESTINYの桑島が演じるステラ・ルーシェを見たときに、幼い精神年齢と衒うことなく感情をさらけ出すキャラクターに新しいタイプの登場を感じた。しかし、後に「アルジェントソーマ」を見たときにステラ・ルーシェはハリエット・バーソロミューが原典であると気づいた。私は脚本家山口宏を過小評価していたのと、少女のハティ(ハリエット・バーソロミュー)がシルクハットの帽子を被っているというトンチンカンな風体(ハットだからハティなのか?)を見て、あえて「アルジェントソーマ」を避けていたが、ある日、オタクとして最終話ぐらい見ておくべきだろうということで、25話を見てみた。
 19歳になったハリエットが出てきて、大いに感じるものがあった。一通り作品を見終えて「アルジェントソーマ」が後の作品達に及ぼした影響の大きさも感じた。桑島は「アルジェントソーマ」では全く性格の違うハリエット・バーソロミューとマキ・アガタを演じている。ガンダムSEEDのキラ・ヤマト役の保志総一朗もここでは、リウ・ソーマ/タクト・カネシロを演じ、キラ・ヤマト−フレイ・アルスターを想起させる配役となっている。桑島は幾つか声を使い分け出来るだけでなく、まったく異なる性格を作品中で演じることもしている。これだけ幅のある力量を持っている声優は他に居ないのではなかろうか。
私は希代の天才声優桑島法子が紡ぐ寓話が連なる時代に居合わせるという法外な幸せに酔うと共に、いい年をしてハリエット・バーソロミューに萌えてしまってどうしようもない自分自身に困惑している今日このごろなのだ(笑)。

posted by たかおん at 23:43| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(4) | アニメ批評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする