2009年02月18日

長岡BHの牽引者、Fostex佐藤晴重氏ご逝去(T_T)

FE208ESR_D58SA.jpg

写真はFE208ES-Rを装着したD-58ES、2002年3月にFE208ES後期型と同時頒布された18mm厚シナ・アピトン積層合板製で、佐藤氏組立て所蔵品。(2007年3月)
http://d.hatena.ne.jp/Takaon/20090218
○Fostex佐藤晴重氏ご逝去
 フォステクス・販売促進グループの佐藤晴重氏が病気療養中のところ1月17日に亡くなられました。私はイベントなどで少し話しをした事がある程度でしたが、お通夜に参列しました。

○長岡鉄男先生のバックロードホーン自作スピーカーへの理解者としての佐藤氏
 長岡鉄男先生のバックロードホーン自作スピーカーというのがあります。詳しくは他のホームページなどをご参照下さい。バックロードホーンは1930年代にアメリカで産まれ、1970年代を最後にイギリスのタンノイらを除き、日本のメーカーが捨てた技術です。それを長岡先生は開口率を下げ、板取の制約を受けながらも音道を長くしつつ、キャビネットの剛性を高めるなどして設計を練成させました。一方ではスピーカーユニットメーカーのフォスター電機の子会社であるFostex(平成15年4月1日吸収合併)がバックロードホーン向きの磁束密度の高いユニッの提供を行ないました。
 スピーカーユニットメーカー側の協力なくして長岡BHの発展も無かったのです。長岡BHとは長岡先生とFostexとファンによる協労の産物なのです。
 佐藤晴重氏は長岡鉄男先生の設計思想を深く理解して、まさに二人三脚で長岡BH牽引されてこられました。
 佐藤氏はFostex FE-103シリーズの限定版FE103G(金色仕上げ)?辺りから参加されているようです。20cm級ではFE208S頃には担当されていたそうです。

○FE208ES-Rの奇跡
 音を聞くには振動板を電磁制動させる現在のスピーカーシステムはデジタル化が進むオーディオにおいて数少ないアナログ的な要素が強い箇所です。私にとってスピーカーは単なる音の再生装置に留まるものではありません。アニメを中核とするオタク的な世界観を再現し、私の感覚器へと情報を伝達する極めて重要なデバイスでもあります。
 オーディオは音を聞くのか音楽を聞くのかという神学論争もどきの議論がありますが、現在では映像再生との融合で「音」を聞く要素が強まっています。しかも、DVDは低域の録音S/Nレベルが高いので、製作者の意図する高い音圧でリニアリティ(出力信号が入力信号に対して、正確に比例していること)のある低音を再生するというのは、難しいのです。なぜ、難しいのかというと、低音を出すには一般的にバスレフもしくは密閉型のキャビネットに重い振動板を実装した大口径のユニットを装着して駆動します。しかし、重い振動板は反応速度が遅くなるわけですし、再生上のリミッターにもなるわけです。軽量振動板では低音が出ないわけなのですが、それを背面の音を利用してホーンで増幅して再生するのがバックロードホーンの仕組みです。
 バックロードホーンは軽量振動板のユニットが使えますが、キャビネット内部のホーン全体の空気を押すわけですので、その反動があります。キックバックがあるわけです。スピーカーユニットとして制動力が問われ、また、振動板の剛性も必要です。一方ではスピーカーユニットとして制動力を高めるために、磁束密度を上げると、低音が出にくくなります・・・・結局、物理的リミットの上限を見据えた巨大かつ複雑な構造のスピーカーキャビネットで低音を稼ぐということになります。
 D-7シリーズ→D-50→D-55→D-58とキャビネットは大きくなりましたが、D-58,D-58ESはFE208ESでは駆動しきれていないのではないか?という疑念がありました。
 2007年にFE208ES-R登場し、制動力が高まり、振動板の剛性も高まり、背面の磁性体もフェライトからアルニコになったのためコンパクトになりと、大幅な進化が得られたのです。FE208ES-Rは中音域の音色も艶やかになりまして、フルレンジユニットとしての全音域での特性は大幅に高まりました。直裁に言えば、FE208ES-Rの登場を持ってして、長岡BHは完成したと言えるでしょう。
 佐藤氏は限定ユニットの企画立案からタッチされていたようです。私は佐藤氏の強靭な意志無くしてはFE208ES-Rは存在しなかったのではないかと推察致します。長岡先生の死後(2000年)、自作スピーカー界を名実共に牽引されてきた佐藤氏のご逝去は、長岡BHと日々過ごしている私にとって痛惜の極みなのであります。

御参考
http://www.audio-k.com/audio/craft.htm
https://community.phileweb.com/mypage/entry/123/20090124/
長岡BH、奇蹟の軌跡『FE208ES-R登場』!
http://wanwanlapper.seesaa.net/article/37123049.html
posted by たかおん at 23:09| 埼玉 ☁| Comment(5) | TrackBack(0) | 自作スピーカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月16日

SONY TA-DA7000ESの後継機種が出ない?

Sony_Elevated_Standard_006.jpg

http://d.hatena.ne.jp/Takaon/20080715
○激闘TI革命・対抗ブラザーズ
 アルビン・トフラーが煽り倒したIT革命というのがあるそうで、アメリカじゃぁ本当に「イット」とか言うそうです。森喜郎の読み方は有る意味正解なんだそうです。

 AV業界(^-^;製品ではテキサス州ダラスの「Texas Instruments」の頭文字を模したTI革命vsTI対抗勢力との激闘が続いています。
「激闘TI革命・対抗ブラザーズ」ですね(^-^;

○プロジェクター戦争 TI(DLP) vs Victor Sony Canon(LCOS)
 Texas InstrumentsはプロジェクターではDLP®(デジタル・ライト・プロセッシング)デバイスを発売し、廉価・小型・投射の自由度が高いプロジェクターを世に送り出してきました。それに対し日本勢は透過型液晶と反射型液晶デバイスを出してきました。
 結論から言えば、Victor Sony Canonの「反射型液晶(LCOS)」デバイスが画質的には有利なようです。
私はCanonのSX50を使っています。
http://wanwanlapper.seesaa.net/article/80967803.html

○デジタルAVアンプ TI(PWM Processor) vs Sony  (S-Master Pro C-PLM)
SA−XR55というPanasonicの3万円のAVアンプがあります。
『バイオリン弾きへの道』から感想転載
http://blog.livedoor.jp/arcturus193/archives/50393433.html
「音はとてもピュアな音で、原音をそのまま再現してくれます。この人はドミナントを使っているなとか、ヒルのE線だなというのが判る気がします。
私は特にオーディオマニアではなく、いい音で音楽を聴きたいというだけなので、これで十分です。お店ではウン百万円もするシステム(なんと真空管)を聴かせてもらいましたが、バイオリンをお風呂の中で弾いているような感じで、好きな人にはいいんでしょうけど、私にはとてもバイオリンの音には聞こえませんでした。
きっと、あれはひとつの楽器であって、元の録音が悪くても、それなりの音にして出してしまう装置なんでしょうね。きっと元の信号にいろいろな倍音が付加されていい音に聞こえてしまうのでしょう。」
--転載終わり--

 ということです。SA−XR55/57を実際に聞いてみると中音が固くシンプル過ぎる嫌いもありますが、低音の駆動力はアナログアンプを一蹴します。
 インピーダンス上昇はスピーカーの逆起電力を表しますが、バックロードホーンは低域にいくつもの共振がありましてスピーカーの逆起電力が大きいのです。無帰還デジタルアンプでは逆起電力の悪影響を避けることができるそうです。フルデジタルアンプでバックロードホーンを鳴らすと、その持てる低域駆動力をいかんなく発揮します。
 デジタルアンプは特性上高音域の歪み率が高いようですが、実際はアナログアンプよりも数段低歪みです。
 また、無帰還デジタルアンプは自分の出力で引っ張られた電源の電圧降下を補正できない欠点があるらしいです(改善済み?)。Sonyは電源部を超高出力トロイダルトランスで瞬間的な大電流を支えているようです。
また、PWM及びC-PLM方式デジタルアンプは電源利用効率が非常に高いそうです。実際に発熱は驚くほど少ないです。一方、パワー段がアナログのAVアンプは驚くほど熱くなります。

SA−XR55/57 SU-XR700 (TI) vs TA-DA9000/9100/7000ES

 という図式で、Sonyは32ビットS-Master PRO搭載のフルデジタルアンプを発売して対抗しています。
SA−XR55/57 SU-XR700は搭載ICが同じようです。TIはアンプの自社製品を持たずICを外販しているせいか、TIのIC搭載アンプは安いようです。なんとSA−XR55/57は3万円程度です。
 他方、ソニーの開発技術者かないまる氏によれば、
「C-PLMは分解能はマスタークロック周期の1/1、つまりマスタークロックそのものとなります。ですから、PDMや通常のPWMの二倍の分解能があるわけです。」
だそうです。

んで、
TA-DA9000は中古で 15万
TA-DA9100は中古で 32万
TA-DA7000は中古で  8万
といったところです。

SonyのラインナップではTA-DA7000がお買い得と言えますが、2004年の製品なので、最新の音声コーデックに未対応だったり、HDMI端子が無いという短所があります。
また、9000シリーズやSA−XR55/57はバイアンプ機能がありますが、TA-DA7000はありません。
得てして、バイアンプ駆動にすると透明感や分解能良くなります。

 よーは、SA−XR55/57から上を狙うとすると、TA-DA7000かTA-DA9100しかないのですが、TA-DA9100は高すぎて却下となり、TA-DA7000は古すぎて却下となるわけです。よって、TA-DA7000ESの後継機種の登場が待たれているわけです。
 TA-DA5300/3200ESはパワー段がアナログなので、逆起電力の大きいバックロードホーン使いとしては避けたいところです。


○アメリカ・ソニーSTR-DA4400ES発表
 記事を読んでもパワー段がアナログなのかデジタルなのか解りません。英語サイト回って英語読んでると頭痛くなるので、結局解りません。
 価格帯としては、TA-DA7000ESの位置にTA-DA5300ESがいます。
 まぁ、120W/7chで1500ドルで、型番としてもTA-DA5300ESの下位機種っぽいですね。STRというのはアメリカではAM/FMチューナー搭載ラインナップの事らしいです(要検証)。
σ(^_^)が言いたいことは
「あ〜、早くTA-DA7000ESの後継機種が日本で発売にならないかな〜」
ということですが、今年も見送りのようです。
下手すると、9000シリーズでしかS-Master Proを搭載しないのかもしれません。
もし、そうであるのならば、音声コーデックやHDMI端子が無いという欠点に目をつぶれば、TA-DA7000ESの中古は超お買い得なのでしょう・・・。


参考リンク
S-Master の特長 (1)シンプルであること
http://kanaimaru1.web.fc2.com/da9000es/d160.htm
S-Master の特長 (2)高性能なC-PLM方式
http://kanaimaru1.web.fc2.com/da9000es/d170.htm

SA-XR50/SA-XR55
テキサス・インスツルメンツ社
TAS5076: Six-Channel Digital Audio PWM Processor
TAS5182: 100-W Stereo Digital Amplifier Power Stage Controller
http://www.page.sannet.ne.jp/komamura/PC-AUDIO/SA-XR50.htm
--
MARANTZ SR8002-N(ゴールド) AVサラウンドアンプ SR8002-N
TI社のフローティングポイント・ハイパフォーマンスDSP TMS320DA708
--
Victor/ビクター   AX-V8000
業界最速の64ビットDSPを搭載した高音質・高機能の最先端アンプ  
テキサス・インスツルメンツ社と共同開発した最速時1,800MIPS@225MHzの処理能力を持つ“32ビット/倍精度64ビット”浮動小数点DSP「AureusTM」を業界で初めてAVアンプに搭載。
--

ソニー AVアンプにハイエンドモデル新機種を投入
http://www.akihabaranews.com/jp/news-16306-Sony+Unveils+Its+High-end+Receiver+Line-up.html

SA-XR55  2005年4月6日発表 2005年5月1日発売
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn050406-6/jn050406-6.html
http://prodb.matsushita.co.jp/product/info.do?pg=04&hb=SA-XR55
SA-XR55取扱説明書
http://dl-ctlg.panasonic.jp/manual/2005/sa_xr55_s_1.pdf

SU-XR57  2006年3月8日発表 2005年4月15日発売
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn060308-6/jn060308-6.html
http://prodb.matsushita.co.jp/product/info.do?pg=04&hb=SU-XR57
SU-XR57取扱説明書
http://dl-ctlg.panasonic.jp/manual/2006/su_xr57.pdf

SU-XR700  2006年7月14日発表 2006年9月1日発売
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn060714-1/jn060714-1.html
http://prodb.matsushita.co.jp/product/info.do?pg=04&hb=SU-XR700

ICEPOWERモジュール
http://www.semiconductor-sanyo.jp/icepower/index.htm
(大出力自作デジタルアンプも可能?)

PSPが日本国内で1000万台を突破
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=548577&media_id=47

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2008年03月19日

自作スピーカー革命「チューバ・ベーシック」

チューバ・ソルデス2.jpg○ミューズの箱舟自作スピーカーコンテンストに出品されたチューバソルデス
2007年12月2日にミューズの箱舟自作スピーカーコンテンスト2007がありました。





 ミューズの箱舟会長前田好一さんの作品。チューバソルデスを拝見・拝聴致しました。
最初見たときにバックロードホーンかと思いましたが、2回折り返しの共鳴管タイプで、開口部が底面にあります。
FostexのFE-126Eを実装していました。
http://dp00000116.shop-pro.jp/?pid=6059
総合賞を受賞致しました。

参考
http://www.diyloudspeakers.jp/8000html/8300audioevents/musehakobune2007.html



○秋葉原コイズミ無線でチューバ・ベーシック発表会
 前田会長と田中氏による
10年後も「定番」いい音を選ぶ2
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=07195302
2007年12月15日に秋葉原のコイズミ無線にて、チューバ・ベーシック発表会がありました。
--以下概要転載--
葛、同通信社刊「いい音を選ぶ2」(2007年11月末発売)に掲載された話題のバックロードホーンスピーカー ”チューバ ベーシック” をユニットを変えながら試聴いたします。
 「低域もクセが無く、重低音まで伸びて痛快で音場が広く音像もリアル。現代音楽などの特にDレンジの広いCDなどを見事に表現している。」(記事より抜粋)
バランスよく表現力豊な音をお楽しみ下さい。
使用予定のユニット  FOSTEX FE103E
 ALPINE DLS-108X
講師  前田好一(ミューズの方舟会長)
 田中博志(ミューズの方舟役員)
--転載終わり--
FOSTEX  FE-103E
http://dp00000116.shop-pro.jp/?pid=6046
Mo=2.6g
FOSTEX  FE-107E
http://dp00000116.shop-pro.jp/?pid=6049
Mo=2.6g

最近は「革命」という言葉の大安売りですが、このチューバ・ベーシックこそが本当に「自作スピーカー革命」の名前に相応しい作品だと思います。
 理由としましては、スワン型に比べて「製作が楽」「底面積が少ない」「低音が素直」です。正直に申し上げて、今からスワン型を作ろうと思われている方はチューバ方式のスピーカーを模索した方が良いと思います。スワン型は床面積が大きい上に更に後を空けて設置しないといけませんし、背面の壁が強くないと低音が稼げません。スワン型は部屋込みの壮大な自作スピーカーシステムとも言えるかもしれません。チューバ方式でしたら、背面をさして空ける必要はありません。前後左右に10cmもあれば良いかと思います。

 発表会では「FOSTEX FE103E」「ALPINE DLS-108X」 との換装比較視聴を行ないました。
私はFE103Eの方が「紙っぽさ」を感じさせましたが、音色はリアルな感じがしました。しかし、挙手による優劣判断では、DLS-108Xの方に挙手した人が多かったです。
 私自身がFEシリーズの音色に耳が慣れているというもあるかもしれませんが、クラシックギターの音色なら自分でも演奏するので「基音」があります。DLS-108Xの音は、ユニットのキャラクターを押え込んだ感じで堅実ですが、「音色」という観点から申し上げますと、FE103Eの方がリアルだと、私は思います。

 上位機種のチューバソルデス(12cmユニット仕様)は低域を伸ばしすぎとの意見もありますが、作ってみたいと思わせる逸品です。
今のところ、チューバ・ベーシックにFE88ES-Rを装着するのが無難かもしれません。FE88ES-Rは音色も華やかで、磁石が大きいので制動力もあります。
僕としてはFE138ES-Rでのチューバ方式スピーカーの製作発表を希望致します(^ー^)ノ

○「いい音を選ぶ2」に掲載内容
その1 塗装代まで込みで2本3万5千円。
その2 作りやすさを念頭に置きながら、有益な技術を結集させた作品。
その3 初心者にも作成しやすく部品数も少なく工作も簡単。
その4 場所をとらないトールボーイフロアタイプでスタンドも不要。
その5 組み立て塗装も含めて9時間で作成可能。
その6 バランスよくしかも大迫力の重低音をだす。
です。記事の板材のレイアウト用紙が添付されています。正確に作るには「いい音を選ぶ2」を買わないといけません。CDもついていますので、「取り敢えず『いい音を選ぶ2』だけは買っておく」のが良いと思います。
posted by たかおん at 13:58| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 自作スピーカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月27日

縦狭テレビの恐怖 CanonパワープロジェクターSX50を導入

TVsize_kanzan.jpg○縦狭テレビの恐怖
 故・長岡鉄男先生は横長テレビを「縦狭テレビ」と呼んだそうです。地上波デジタル対応テレビは言うに及ばず、パソコンディスプレイにおいても縦寸(縦ドット数)が必要なのになぜか横長ディスプレイが増えてきています。
 私は一般的なAVマニアのような洋画はあまり見ません。というか、アメリカ映画は極力見ないようにしています。見てもつまんないのです。ハリウッドの大見得切ったわざとらしい演出やシナリオにへき易しています。一方、ヨーロッパ系の映画は良いものが多いです。
 おおよそ、アニメを主体に視聴しておりますので、画面は4:3のサイズが良いのです。横長のビスタサイズのアニメも増えては来ましたが、今のところの過去の遺産を踏まえると、やはり、4:3のサイズが良いわけです。
 ホームシアターの場合はプロジェクター投射の映像を見ることになります。そうなりますと、リミットは縦寸で決まります。一般家屋の屋内は2.3m〜2.4mです。仮に16:9としますと、横幅は4.62m程度になります。
 音声透過型のスクリーンを使えば、横幅4.62mも可能かもしれませんが、普通にスクリーンに投射もしくは壁紙に投射する場合は、4.62m幅の外側にスピーカーを置くことになります・・・ってスピーカーの横幅も含めると無理でしょう。30畳とか40畳ぐらいの部屋なら可能かもしれまんがね。
 縦2.3m×横3.0mが私の今の見ているサイズです。150inchサイズとなります。で、XV-Z90Sというプロジェクターを使っていました。いわゆるDLPプロジェクターです。当時としては革新的な画質でした。今見てもすごいと思います。一時期は後継機種のXV-Z3000の乗り換えようと考えましたが、投射距離が長すぎで断念しました。そうこうしているうちに、横長プロジェクターが主流になってきました。私にしてみると、横長ではなくて縦狭です。D-58ESとD-150を並べて使っていますし、更にその外側に低音用のスピーカーを置く関係と、リスニングポイントの距離の関係でこれ以上画面に横幅を割けません。スクリーンは横幅3.0mが限界なのです。
 ですから、買い替えるのなら4:3型の縦広プロジェクターしか考えられないのです。ネットでいろいろ調べてみると、パソコン接続用のプレゼンテーション用プロジェクターでは4:3型があるようでした。しかも、御丁寧にも投射距離が短いので、150inchも確保できます。
 プロジェクターのデバイスも反射型液晶が先端を行っているようで、いろいろ調べて結果、偽装請負で有名な経団連会長を排出したCanonの中古を探すことにしました。理由は良くわかりませんが、法人利用のリユース品?と思われる安い出物が多々あるようです。時間をかければかなり安い買い物ができそうでしたが、メーカー調整済み品というのを買ってみました。

○CanonパワープロジェクターSX50を導入
 で、まず、コンポーネント端子をRGB端子変換コネクタで接続しましたが、「緑」しか映りません。しょうがないので、S端子で繋げています。HDMI-DVI-I変換ケーブルを注文したので、接続方法を換えたら再度評価を書きたいと思います。
 S端子接続での評価ですが、赤が淡いような気がします。緑は深いです。いろんな画質モードを試しましたが、結局「スタンダード」「標準」(ファンの騒音モードのこと)で、赤を+1・緑を-1にしています。解像度は格別で、アニメを見てると顔とかスタイルは精緻に描いていますが、「手」の描写がいい加減なのが気になるくらいです。顔の輪郭線がはっきり見て取れて「描いた画」いうのが意識の上に昇ってきてしまうぐらいです。
反射型液晶パネル(LCOS)のお蔭で、ドット間の隙間はありません。密度も色乗りも濃厚な映像となっています。うーん、すごい。やっと、映像が音声のレベルに追いついたような気もします。もう、映画館には行かなくて良いです。
 SX50のデメリットについても言及しておきます。まず、黒浮きが激しいです。対策としてKenkoの49mm口径のレンズフィルターを装着している方もいらっしゃるようです。プレゼン用に「白」を基準にして設計されているから仕方ないようです。後継機種のSX60以降はホームシアター用にも設計しているので、黒浮きはないようです。私は暗部が黒く潰れて見えないより、黒浮きしてても見えたほうが良い派なので、黒浮きについてはあまりデメリットを感じません。
 後はホコリの問題です。DLPはユニットが外部と隔絶しているので、ホコリが入りませんが、液晶パネル式のプロジェクターはやがてホコリがパネルに付いて、画面に写りこんできます。こまめにフィルターを清掃し、一定期間にたっしたら、筐体を開けて清掃せざるを得ないようです。

SX50 クチコミ
http://bbs.kakaku.com/bbs/00881010642/

オーエス、アスペクト比16:10のスクリーンをラインアップ
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=386307&media_id=36
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2007年10月29日

思想家長岡鉄男が残したもの〜イームズ夫妻の影響を考えてみる〜

swan.jpg○はじめに
 私にとって、長岡鉄男氏はまずは思想家であって、次に自作スピーカーの伝導師でした。長岡先生はホームシアター専用設計の方舟も含めて、私の憧れでした。
 長岡鉄男氏を思想家と規定する理由は、実際に私が長岡先生から思想的影響を強く受けているからに他なりません。なぜ、長岡先生の影響を強く受けたかというと、長岡先生の文章は明瞭で解りやすかったからです。歴史に名を残す大哲学者の御歴々の御著書は難しくて私には理解できませんでしたが、長岡先生の文章は理解出来たと、ただそれだけの事なのです。
 長岡先生もどれほど深い智見を持って文章を書いていたのかは解りません。コント作家出身ですから、
「こんな事も言うことができるかな?」
くらいの気持ちで執筆されていたのかもしれません。
 実は今の私がその心境です。私は皆と違うこと言ってみて喜んでいるだけなのですが、意外や意外に真相真理を突いているかな?と一人で悦に入っています(^-^;

○「観音力」長岡鉄男自身による自伝
 長岡鉄男先生についてはスピーカー設計術や追悼本を含めかなりの冊数が発刊されています。貝山知弘氏らオーディオ関係者との対談なども数多くあります。更には長岡氏自身による自伝本「観音力」があります。「観音力」には若かりし頃から、晩年に至るまでの職歴・オーディオ歴が書いてあり、通読すれば長岡氏の遍歴がおおよそ解るようになっています。
 追悼本の一冊に、「観音力アンソロジー」が音楽の友社から出版されました。長岡氏が本に発表した文章をまとめた本です。「観音力アンソロジー」を読むと長岡氏の思想がほぼ俯瞰できます。

○音による覚醒。長岡氏は太宰治の「トカトントン」を引き合いに出して自らの原点を語りました。
太宰治 トカトントン
http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/2285_15077.html
という作品があります。敗戦の日に自殺しようとする男が大工のトカトントンという音を聞いて我に帰るという短編小説です。
 「観音力アンソロジー」に具体的な事が書かれた文章が掲載されています。長岡先生の親父は小学校の校長先生で家には「本当の歴史」を記した本があったそうです。それらを読んだ長岡先生は学校で教える歴史がウソっぱちだということに気づいてしまい、あまり勉強しなかったそうで、家にある本を読んだりしていたそうです。
 長岡先生は天皇を崇拝体制によって遂行された戦時体制が、戦後にガラっと変った事、そして、音を追求する趣味に目覚めたことについてトカトントンを引き合いに出されて述べたのです。

○長岡教の神通力は生きているのでしょうか?
 かつて、長岡先生設計のD-55を作り、日々鳴らして親しんでいました。部屋が狭いせいで、2mに満たない至近距離聞いていました。今にして思うとフルレンジ特有の刺々しい音でしたし、低音は部屋の外へ抜けていってしまって薄い感じでしたが、バックロードホーン特有のトランジェントの良い「速い低音」は魅力でした。自作スピーカーにこだわるのは音だけなく、コストパフォーマンスの良さもあります。
1990年代後半になると長岡先生の記事が掲載されている雑誌も買うこともなくなり、突然2000年に亡くなられたことを知りました。やがて、2004年ころホームシアーターを構想し、モア(D-150)をYahoo!オークションで落札し、そこから長岡教への回帰が始まりました。
 自作スピーカーへの興味が復活した折りには、長岡先生が亡くなられてから時を経ており、もはや信者も消えてしまい、「我こそは数少ない長岡教徒の生き残りなり〜」とマッドマックスに出てくるティナターナーかはたまた北斗の拳のケンシロウに自身を重ね合わせて見たりもしました(^-^;。が、さにあらず、長岡教は世に広く伝搬し、今でも現役及び隠れ信徒さんが数多くのいるようです。
 しかも、長岡鉄男先生の影響は受けたという人は、私が思ったよりも多いようです。一方、実際に長岡スピーカーを運用している人は減っているようです。現在でもスピーカーユニットメーカーのFostexはFE208ES-Rなどの新作を発売しておりまして、スピーカーユニットの進化は続いています。
 長岡先生は富士の裾野で行われた自衛隊演習の収録ディスクを推奨するなど、「音」そのものを聞く事にも傾注しました。当時は機関車や花火や大砲の「音」を聞くというのは奇異な世界でしたが、DVD-VideoのDTS録音ディスクが出てきて、今や戦争映画を見るときにはダイナミックレンジが大きなバックロードホーンの威力が如何かく発揮されることになりました。時代が長岡スピーカーに追いついたのです。
また、「こんなスピーカーみたことない長岡鉄男のオリジナルスピーカー設計術[基礎知識編] [図面集編T] [図面集編U]Special Edition」3冊が再編集されて発売になります。
http://www.diyloudspeakers.jp/

○仮説「長岡先生はイームズ夫妻を手本にした」
 イスのデザイナーで有名なチャールズ・イームズですが、妻のレイと共に、建築や映像、美術の世界に大きな業績を残しました。第二次大戦中に合板成形の会社を立ち上げて義足などを作っていたそうです。一説には軍に買い上げられて成功したという話しもあれば、失敗して事業に行き詰まったという説もあります。1949年には鉄骨剥き出しでモダンな設計?のイームズ邸を建設しています。1960年代にはIBMとの蜜月関係を築き、パビリオンの設計演出を行なっています。この頃すでに多スクリーンによるホームシアターを実現しております。1960年代当時のIBMは1980年代のAppleの要に「イメージによる夢を売る」会社だったのです(笑)。
 私は長岡先生とイームズに共通点が多いのに気づきました。イームズは合板成形技術を駆使したイスを多作しましたが、長岡先生は合板を「いも継ぎ」で組み上げたスピーカーを多作しまいた。イームズ邸は設計から建築段階まで詳細に渡る雑誌解説がされました。長岡先生も方舟建築については一部始終を収録した著著を出版しています。イームズが設計演出したIBMパビリオンのホームシアター的な試みは長岡先生が目指したホームシアター像を誘因したと思われます。
 長岡先生はスピーカーメーカーのBose社を意識した多スピーカーユニットによる音場型を作っています。一方、Boseは長岡先生の共鳴管スピーカーからキャノン型スーパーウーハーを作ったという風聞があります。(要検証)
 しかし、長岡先生が自らのライフモデルとして手本にしたのはイームズ夫妻その人だと、私は想定しています。戦後の日本はアメリカを手本に復興を遂げてきました。長岡先生もアメリカに強い影響を受けています。バックロードホーンの理論も1930年代のアメリカの技術です。長岡先生はD-1からD-9まではアメリカ版を下敷きにしたと記しています。その後、独自の設計理論を実践していくことなります。
ですから、長岡先生がイームズ夫妻を知らぬはずもなく、合板がもたらした工作革命に乗って、アメリカではイスの設計、日本では自作スピーカー設計と実践が行われたのではないでしょうか?

○まとめ 
長岡鉄男氏のすごいところは自らの理論を提唱するに留まらず実践を伴った所です。初期のころこそは自らスピーカー製作を行なっておりましたが、昭和50年代には、自らのスピーカー理論を実証していくための人的動員を、文章創作能力や人柄で成しえたというところです。
そして、レイ・ブラッドベリ原作の華氏451(911じゃないよ)が描きだした、壁いっぱいに映像を映し出すテレビ装置を実現するために、専用の家まで建てました。
スピーカーもバックロードホーンから共鳴管タイプをリファレンスに切り替えて可能性を探りつづけました。膨大なレコード・CD・LD・DVDのコレクションを行い、海外の高音質レーベールを紹介・解説を行い、最晩年にはフランス語の辞書を引いていたそうです。ちなみにご子息は翻訳家です。
長岡先生は著名になったのは40代後半と遅咲き人生でしたが、50代以後に多大な著述を残し、死の間際まで精力的に仕事を成されました。
資源枯渇による成長の限界に突き当たった感ある昨今ですが、私も長岡先生のように生きて行きたいと思います。
posted by たかおん at 23:15| 埼玉 ☔| Comment(2) | TrackBack(1) | 自作スピーカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする